転校生の事情【角名倫太郎】

26.初めてのドキドキ ページ26

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｢今日から部活休みになるから、一緒に帰らない？｣



期末テストが迫った11月末。倫太郎がそう誘ってくれた。



｢うん…勿論、いいよ！｣



先月から付き合い始めたと言うのに
彼氏彼女らしいことは一切していなかった。
それどころかあんまり話せてもいなかったし。
ようやく二人でゆっくり話せるな。


授業が終わると、倫太郎はうちのクラスへやってきた。



｢お前らよかったな！！｣



諒が倫太郎の体をひじでつついた。



｢うるさいよ…｣
｢俺のお陰ちゃう？｣
｢違うから…｣



二人の妙なやり取りに笑ってしまった。



いつもの帰り道を、倫太郎と二人で歩く。
今まで、本当にいろんなことがあったな。



｢ほんま寒なってきたよね…そろそろ手袋持ってこなあかんわ｣
｢そうだね…｣
｢なあ、今度はバレー部の試合見に行ってもいい？｣
｢もちろん、見に来て欲しい｣
｢楽しみやなぁ。でもその前にテスト頑張らな！｣



他愛のない会話が嬉しい。
初めて好きになった人と、初めての恋人同士になれて。
夢みたいな時間だ。
その時、倫太郎が私の手をぎゅっと握った。



｢！！！｣
｢…だめ？｣
｢だ、だめ…じゃない…けど｣



クラスも離れてるし、体育祭のフォークダンスでさえ当たったことないのに
こんなにしっかり、倫太郎に手を握られるなんて初めてで…
あかん！心臓飛び出る！！



｢けど、何？｣



あ、これ、拗ねたな。なんて、声色でわかってしまった。
倫太郎って、何にも気にしてないクールなようで
意外と…私の反応とか、気にするタイプやんな。



｢だめじゃないけど、めっちゃドキドキして…心臓止まるかもしれん｣
｢それは…困るけど、離したくない｣



倫太郎は更に握る力をぎゅっと強めた。



｢あのさ、今年のクリスマスイブ。休みじゃん？遊ぼうよ｣



倫太郎のお誘いにも、胸がドキドキして
必死に首を縦に振った。
テスト勉強が身に入らんくなったら、やばいわ…。

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