家族のように ページ10
「夜叉、私の甘味なら台所にあるから、それを貴方にあげる」
「…本当か」
夜叉は疑う表情で私を見下ろした
「うん、だから座敷童子のことは許してあげて?」
あまりお腹空いてないし、あのまま食べなかったら腐っちゃう
「え、でも…A様のぶんが」
私は心配そうに見つめる座敷童子を優しく撫でた
綺麗な黒に、サラサラの髪の毛…触り心地がいいな
「私はあまりお腹空いてないの。誰かに食べて貰わないと腐っちゃう」
私は立ち上がり、ぐーっと背中を伸ばした
「ほーう、人間の割には気がきくじゃねーか。おいクソガキ、こいつに免じて許してやる」
座敷童子はフンッとそっぽを向き、私の手を繋いできた
ふふっ何だか妹みたい
私は座敷童子の行動に微笑ましく思い、自然と笑顔になった
「じゃ、台所に行こう!」
____________
「んーっと…あったあった!」
私がとっておいた甘味を皿の上に乗せ、突っ立っていた夜叉に差し出す
「おー!これこれ、俺様の好物よ」
甘味を乱暴に受け取り、目の前にした夜叉は怪しく唇をペロリと舐めた
…この時代の甘味って、羊羹に近いな
まあ小豆で作られていることには間違いない
私は持っていた箸を使って甘味を一口サイズに割り、つまむ
手を添え、落とさないようにし夜叉の口元まで運んだ
「はい」
「はい、じゃねーよ、自分で食えるってーの」
夜叉は眉を寄せた
「でも夜叉、今箸を持っているの私なんだよね」
私はニヤリと笑う
最近夜叉が生意気なので、懲らしめたいと思います
夜叉の嫌いな人間に"あーん"されるという屈辱を合わせてやろう作戦!
「じゃあ貸せ」
「貸したら今挟んでるもの落ちる」
「チッ…ああ!わーったよ!たく、何で人間の女なんかに…!」
夜叉は愚痴りつつ、口元にある甘味を食んだ
よし、勝った
これで少しは私の威厳というものを…!
「どう?美味しい?」
孫に聞くお婆ちゃんのように、優しい笑顔で問いかけた
「…不味い」
夜叉は不貞腐れた顔でもぐもぐと口の中の甘味を噛む
座敷童子は穴があきそうなほどにジーッッッ………と残っている甘味を眺めていた
だめだめ、あげたら夜叉が暴れるっ
私はあげたいのを我慢し、箸でまた残りの甘味を一口サイズに割った
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はぐはまさ - ranさん» ranさん!読んで頂きありがとうございますm(__)m般若ですね!少しずつ物語の中で登場させていきます(^ ^)貴重なご意見、ありがとうございます! (2018年2月3日 14時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
ran - とっても面白くて素敵な話ですね♪♪ 般若との出会いも見て見たいと思いました(*^^*) (2018年2月2日 23時) (レス) id: 1a72ca3fb7 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - いあち五めさん» いあち五めさん!あけましておめでとうございます(*^_^*) 更新遅くなってすみません!暫くこの状態が続きますが、許してください(°_°) (2018年1月2日 10時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
いあち五め - 明けましておめでとうございます!久し振りに更新されてて嬉しいです(´`*)更新お疲れ様です (2018年1月2日 2時) (レス) id: 75ac0719d6 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - ふじさん» ふじさん!コメントありがとうございます( ´ ▽ ` )わかりました!次作は大天狗との恋愛にします!笑 その作品を作るのにまだ時間がかかりますが、許してくださいm(_ _)m (2017年11月14日 16時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はぐはまさ | 作成日時:2017年10月21日 23時