告白 ページ48
「友よ!ここにいたのか!」
酒の匂いを辿って着いた場所は、黄と紅い木の葉が舞い落ちる楓林
そこで酒呑童子は、大樹を後ろに酒を飲んでいた
「げっ茨木…」
友の歪んだ顔を見るようになったのは、いつからか_____
戦いについて語り合った、あの時がとても懐かしく感じる
「…またあの女に会いに行っていたのか」
酒呑童子は黙って鬼瓢箪に口をつけて、勢いよく酒を飲んだ
今なら、少し友の気持ちが理解できる
私はこれ以上何も言わず、友の隣に座った
「…あの女と何かあったのか」
「な、なぜわかったのだ友よ」
思わず体を固くしてしまう
賢い友は、前から私がAに恋心を抱いていることを見抜いていたが…なぜこうもバレてしまうのだろうか
「貴様はあの人間のことになると表情にでるからな。……………なぜそう嬉しそうな顔をする、気色悪い」
と、友が私のことを見てくれていた!
私に対して無慈悲で無関心な彼が!
「すまない、君が私に関心を持っていてくれたのかと思うと、嬉しくて」
「…酒が不味くなった。で?女とはどうなったんだ」
友に隠し事はしたくない
少し間を置いて口を開く
「恋仲に、なった」
「やはり、な。散々俺様に恋沙汰はやめろと大口叩いていたが、これからはそういかんぞ。…にしても、人間に恋するとは愚かよ」
友は口直しに、というように酒をまた飲み始める
「ああ、だが…これからも私は君に戦いと強さを求め続けるぞ?」
すると友の動きがピタリッと止まる
「はぁ…図々しいやつだな」
溜息をつかれてしまった、何度目だろうか
ふと、あることを思いついた
確か、友は恋愛に関しては私より経験が多いはず…
「友よ、恋仲になったら何をすればいいのだ?」
私が素朴な疑問を言った途端、酒呑童子は勢いよく酒を吹き出してしまった
「…まさか、貴様の口からそんな言葉を聞くとはな」
「たしかに、今までの私ではあり得ない言葉だな」
友は二度目の溜息をついた
「しかも今の俺様にそれを聞くことか?…とりあえず、その人間が喜ぶようなことをすればいいんじゃねぇのか」
Aが喜ぶこと?
友の頭上から紅い葉が舞い落ちてきて、酒呑童子は手で受け止めた
それを見つめる彼の目は、どこか切なかった
「…そう、だな。すまなかったつまらん話をして」
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はぐはまさ - ranさん» ranさん!読んで頂きありがとうございますm(__)m般若ですね!少しずつ物語の中で登場させていきます(^ ^)貴重なご意見、ありがとうございます! (2018年2月3日 14時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
ran - とっても面白くて素敵な話ですね♪♪ 般若との出会いも見て見たいと思いました(*^^*) (2018年2月2日 23時) (レス) id: 1a72ca3fb7 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - いあち五めさん» いあち五めさん!あけましておめでとうございます(*^_^*) 更新遅くなってすみません!暫くこの状態が続きますが、許してください(°_°) (2018年1月2日 10時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
いあち五め - 明けましておめでとうございます!久し振りに更新されてて嬉しいです(´`*)更新お疲れ様です (2018年1月2日 2時) (レス) id: 75ac0719d6 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - ふじさん» ふじさん!コメントありがとうございます( ´ ▽ ` )わかりました!次作は大天狗との恋愛にします!笑 その作品を作るのにまだ時間がかかりますが、許してくださいm(_ _)m (2017年11月14日 16時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はぐはまさ | 作成日時:2017年10月21日 23時