溢れた気持ち ページ44
すると、頰に茨木童子の左手が添えられた
「茨木童子?」
どうして優しくするの?
自然治癒力が強いのか、先程の苦しそうな表情は見えなかったが、代わりに真剣な表情が私を捕らえて離さなかった
「…つい先程、決心したはずなのにこうも打ち砕かれるとは」
茨木童子が一人で呟き始めた
何の、こと???
「君は私の努力を水の泡にするつもりか?」
すると、身体をぐいっと引き寄せられ、身体だけではなく顔と顔の距離も縮み、息が顔にかかるのを感じて血が沸騰しそうな勢いだ
さ、さっきから何を言っているの!?
「どどどど努力って?」
「…私が君から離れようとしたことだ。だが、もう歯止めはきかん。離れろと言われても離れる気はない」
え、?えええっ!?ちょっと待って!?
「い、茨木童子…一から説明してくだ、さ、いっ」
頭の中が混乱してついていけてない。離れる気はない?どういうこと!?
「君から離れようとしたのは、私が君に惹かれていることに気がついたからだ」
へっ?じゃあ、両想いだっ…てこと?
その言葉を聞いた瞬間、身体中熱くなるのを感じた
「貧弱な人間に友になってやると言ったり、水遊びをしたり…今までの私では考えられない行動が、君に出会ってから目立ち始めた。それに、誰かから大切だと言われるのは君が初めてでな」
茨木童子の金色の瞳が熱みがかり、揺れる
「嬉しく思ったのだ…ただ、それが"恋"だと気がつき、少し自惚れた発言をしてしまうが、君が私に惹かれていることにも気付いた瞬間、鬼である私が人間である君の傍にはいられないと、私の気持ちに反する行動に移した。…人と妖は、幸せにはなれぬと。鬼である私が君と一緒にはいられないと」
茨木童子は一息をついて、続けた
「だが、どうやら間違いであったようだ。決めつけてばかりで、私は臆病であった。…君は叢原火に捕まっていながらも、私を好きだと言ってくれた」
あああああああやっぱり聞かれてたのかっ!
「その一言を聞いた瞬間、押さえつけていた気持ちが…溢れ出したのだ。例え君が寿命で先に逝ってしまうとしても、その短い人生で私を選んでくれた君の傍にいようと決めたのだ」
「いっ茨木童子…」
まるで、告白されてるみたいなんですけど!!
目の前で少し困ったように笑ってる茨木童子がいる
胸のつっかりが溶けた私は意を決した
「私、茨木童子のことが好っ…」
き、と言う前に口が塞がれた
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はぐはまさ - ranさん» ranさん!読んで頂きありがとうございますm(__)m般若ですね!少しずつ物語の中で登場させていきます(^ ^)貴重なご意見、ありがとうございます! (2018年2月3日 14時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
ran - とっても面白くて素敵な話ですね♪♪ 般若との出会いも見て見たいと思いました(*^^*) (2018年2月2日 23時) (レス) id: 1a72ca3fb7 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - いあち五めさん» いあち五めさん!あけましておめでとうございます(*^_^*) 更新遅くなってすみません!暫くこの状態が続きますが、許してください(°_°) (2018年1月2日 10時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
いあち五め - 明けましておめでとうございます!久し振りに更新されてて嬉しいです(´`*)更新お疲れ様です (2018年1月2日 2時) (レス) id: 75ac0719d6 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - ふじさん» ふじさん!コメントありがとうございます( ´ ▽ ` )わかりました!次作は大天狗との恋愛にします!笑 その作品を作るのにまだ時間がかかりますが、許してくださいm(_ _)m (2017年11月14日 16時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はぐはまさ | 作成日時:2017年10月21日 23時