【陰陽師】女子高生と茨木童子 2

私のヒーロー ページ41

「A！」


私は名前を呼ばれ、目を開く



幻聴か？いや、違う！



真上から拳を振り落とされたが、間一髪で叢原火がそれをかわす



「ええいっ我等の邪魔をするでない！隻腕が！！！」



叩きつけられた地面から土埃が舞う中、1人の鬼が立っていた



涙で目が潤んでいて視界がはっきりしないが、ぼやけた中でもその存在ははっきりわかった



「茨木童子！」



来てくれたのね！



でも怒っているのか、顔がとても怖かった



理由は…沢山思い当たる節がある。あとで謝ろう、避けられなければの話だが



「今すぐAを放してもらおう」



「易々と手放すと思うな」



叢原火が放つ強い妖気の風が、茨木童子の長髪を激しく揺らす



「ならば…力づくでお前から奪う！」



茨木童子が構えたその時、どこから現れたのか周りを小妖怪達が囲み始めた



「へへへへへへへへへ」




「ヒヒヒヒヒヒ！」



…様子が、おかしい。まるでこの前の狂気に侵された妖怪と一緒だ



いや、同じなんだ！狂わせていたのは叢原火が原因だったのか


「ハハハハハ！さあ、行け！奴を思う存分喰らえ！」



叢原火の合図で囲んでいた小妖怪達が一斉に微動だにしない茨木童子に向かって飛びつき始めた



あの数では、茨木童子でも耐えきれない！



「茨木童子いい！！」



あっという間に茨木童子は小妖怪達に埋められてしまった


「左腕だけでは、あの数を振り払えないだろう」



「茨木童子に何するのよ！傷付けたら許さないんだから！」


私は思わずムカついてしまい、口走ってしまった



拘束され何もできない自分自身に対しての、苛立ちでもあった



「あの鬼を傷付けているのは、お前の方ではないか？」


その言葉に、私は硬直した



「鬼と人間、結ばれると思うてか？そんなわけ無かろう、命短かき人間に対して長寿の我ら妖が恋心なんぞ抱いたら、哀しむのは妖よ」



「………。それでも、私は」



身勝手だと思われてもいい、自己中だと罵られても構わない



顔を上げ、真っ直ぐ叢原火を見据える



「好きに、なっちゃったんだもの。この短い人生で心から惹かれるほどの存在と出会ってしまったんだ…例え人でなくても、妖でも。想いを伝えられない方が、押し殺した方が、とても辛いよ」

あああページ数少ない、続編決定です→←あなたじゃない

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