【陰陽師】女子高生と茨木童子 2

おまけ 新年を迎えるとき4 ページ36

4時間後…


「や、やっと頂上まで着いた…」


比較的低い山を選んだつもりだったが、あまかった



山登りに慣れていない+雪で足元が不安定で思った以上に体力が削られた


私に比べて茨木童子は軽々と歩き進み、遅いだののろまだの言いながら、なんだかんだ私のことを気遣いながら一緒に登ってくれた



…来年は運動不足を解消しよう


「あと一刻ほどあるな」



「じゃあ、座って待ってよ？」


茨木童子は頷いたのを確認し、私はできるだけ雪のない所に座った



その隣を、茨木童子が座る


「………………。」



「………………。」



…何だろ、無言なのに何故か安心感ある


チラッと横目で茨木童子を見つめる


端的な顔立ちに思わずドキドキしてしまう


今思うと、私とんでもない人ってか…鬼を好きになっちゃったな


酒呑童子大好き野郎だし戦闘大好きだし女なんかに興味一切無い鬼だし…


ちょっと危ういところもあるけど、優しいところもあるし



きっとそういうところに、惹かれていったんだ____



少し頰が熱を持つ



…てか、寒い



想像よりも寒く、体が少し震えた


もう少し厚着してくればよかった


そんな様子に気が付いたのか、茨木童子が声をかけてきた


「寒いのか？」


「ん！？いや、平気よ」


帰るぞだなんて言われたら嫌だもん


できるだけ強がってみせた


頼む！体の震えが止まって！


ぎゅっと身体に力を入れる


「………はぁ」


茨木童子が溜息をついたと思えば、体がふわっと浮かんだ



へ？



気が付いたら茨木童子の足と足の間に座っていた



なに？え？



そのまま左手が私の体を茨木童子に密着するように抱き寄せた



「…い、茨木童子！？」



なにこれ！？なにこの状況は！！！



いや、嬉しいと言うべきか…だけど恥ずかしいわっ


「素直に寒いと言えばいい。君は私とは違って体が脆く、弱い。簡単に壊れてしまうだろ」


低い声音に心配みが含まれていることに気がつく


温めようとしてくれているの？


そう考えているなら大成功だわ


この鬼の行動のせいで身体中沸騰しそうだ


「あ、ありがとう…」


茨木童子のごつごつとした分厚い服のせいで全然温もりなんて感じないけど


…心があたたかく感じる



胸の奥からポカポカとしたものが溢れ出てきた

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