【陰陽師】女子高生と茨木童子 2

そこにいるのは… ページ31

あちゃー…


もうこうなったら何が何でも口が開かないのはわかっているので、私は何も言わなかった


私は黙って、大天狗の胸板に頭を預けた


あたたかいな…


私はそのまま目を瞑り、意識を手放した


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「んんっ…あれ？私いつの間に寝てたんだろ」


目がさめると、辺りはすっかり日が暮れて月が空に浮かんでいた


寝すぎた！


「起きたか」


頭の上から聞こえた声の主は、月下に咲く花のように美しく、昼とは違う雰囲気に思わず固まってしまった


本当にイケメンって羨ましいっ


「ごめんね大天狗、ずっと私を抱いたまま何時間も…」


大天狗は首を振る


「気にすることはない。我も少し昼寝をしていた」


「そっか、大天狗が気にしないなら」


私は思いっきり腕を上げ、背中を伸ばす


「そろそろ降りるぞ」


大天狗は私の膝の裏と背中を手に持ち、ふわりと持ち上げる


「わっ」


大天狗って見た目華奢なのに力持ちだな…


そう思っていると、姫さま抱っこされながら地上に降り立ち、何時間ぶりに地面に足をつける


「ありがと、大天狗」


「礼には及ばん」


そう言った瞬間、大天狗は何かに気が付いたのか目を鋭く奥一点を睨んだ


「そこにいるのは誰だ」


「ひっ！ごごごめんなさい、お邪魔するつもりは〜！」


木陰から出てきたのは、空気上に浮かぶ大きく切り取られた竹の上に座った、女の子だった


その容姿は大変可愛らしく、雰囲気から人間離れしたものから、きっと妖なのだろう


「かぐや姫ではないか。こんな所で何をしている」


「か、かぐや姫！？」


思わず声を高らかに叫んでしまった


かぐや姫って…あのおとぎ話の！？


はわわわわっと困っている様子をじっと見つめる


…確かに、可愛いし大人になったら絶世の美女だ


「遠いところから笛の音が聞こえて…そしたら此処に大天狗様がいらっしゃったので、つい」


かぐや姫は袖で顔を覆い隠す


シャイ、シャイだこの子


思わず抱きしめたくなるような仕草にわざとらしさが無く、おとぎ話でもわかるよう皆んなから愛される理由がわかるような気がした


するとかぐや姫ははっとした様子でこちらを見る


「あ、あの！お詫びと言っては何ですが…」


かぐや姫は手に持っているガラス製で枝分かれした棒を横に3・4回振り、


「それ〜！」


かぐや姫を中心に光りが辺りを眩しく照らした

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