【陰陽師】女子高生と茨木童子 2

いつもと違う距離 ページ26

…いや、もう他の男とこういう状態になっている時点で終わってる気がする


何としてもこの状況から脱出しよう


「…降ろして」


キッと睨んでみせる


先程まで泣いていた私を慰めていた優しい大天狗はどこ行ったの！


「考えておこう」


「んな！って…きゃあ！？」


反論しようとしたらバランスを崩し、体重が後ろにかかる


おっ落ちる…！


ギュッと瞼を瞑ると、宙を彷徨っていた腕が引っ張られ身体が引寄せられた


「全く…世話がやける人間だ」


頭の上から大天狗の声が聞こえた


「あ、あれ？」


気がつくと、大天狗の手が私の腰に回って固定されもう片方の手には私の腕を握っており


顔の横には白い狩衣があった


わわわ私…横抱きに状態に戻っちゃった！？


体温がジワジワと高くなる


「あ、あの…落ちそうになった時、ありがとう」


助けてくれたことには変わらないから、素直に礼を言った


顔を見上げている私と見下ろしている大天狗の視線が交わる


…大天狗の呼吸が感じるほど、近いっ


「道端で恋話をされても困ると思ってな。誰にも目をつけられず気付かれない場所を選んだ」


大天狗の目が、自分の中にスッポリ収まっている私を捉える


「すまなかったな、からかったりして」


「…あっそういうことね。気にしなくてもよかったのに」


大天狗は私に気を遣って場所を変えてくれたらしい


もう、なら最初っからそう言ってくれればいいのに


思わずクスッと笑ってしまった


「それで？やつの何処がいいのだ？」


私がまた背中から落ちないよう固定しながら、大天狗は尋ねてきた


「んー…優しいところ、かな」


あの鬼は自覚はないけど、何度も助けて貰ったりしたし


私のわがまま付き合ってくれたり…


思い出せば思い出すほど、切ない気持ちが胸を占める

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