【陰陽師】女子高生と茨木童子 2

試される私 ページ25

歩いて数分、周りは木だらけで先程までいた道から遠く離れていた


まあ、今は黙って大天狗についていこう


「ここでいいか」


すると突然大天狗は一本の大きな木に触れた


「わあ…この木、他のやつより大きいね」


見上げると枝という枝が沢山伸びており、葉で天が覆い隠され見えなかった



「A」


大天狗に呼ばれ振り返ると、来いと言わんばかりに手を伸ばしていた


「……。」


いや、何するつもりですか


思わず警戒してしまう


「早くしろ」


どこか威圧感のある声で諭され、渋々伸ばされた手に自分の手を重ねた



すると_________視界が反転した


目の前にあった大天狗の白い狩衣から、大天狗の顔と樹木の葉に風景が変わった


しかも、何で私大天狗に顔を覗き込まれるようなことになっているんだ？


「…んんん？」


どう考えてもこれ、お姫様抱っこ状態じゃない！？


「ちょっと待って大天狗！って、わわ！」


私の制止を聞かず、大天狗は背中に生えている翼を広げ、飛んだ


あっという間に地面が小さく見え、大きな枝も次々と小さく見えた


「ふむ、この枝なら頑丈だな」


ある程度高く飛んだ矢先、大天狗は人が座れそうなぐらい大きな枝を見つけ、幹の方を背に座った


…私を横向に自分の上に座らせたまま、大天狗は座った


つまり、密着している格好だ


「ちょっと！離して！」


近い！近いよ！


私はもう恥ずかしくなり、大天狗の手を振りほどく


「別に構わんが…座り辛くならないか？落ちるぞ？」


「ヒッ…！」


大天狗の太腿の上に座ったまま下を見ると、それはもう…危険だった


落ちたら即死するほど、地面との距離があった


でも、このままこの人の上に座ってたら落ちる自信しかない


なぜなら、バランス悪いからだ！


「あの、大天狗さん？何を考えていらっしゃるのかしら」


青ざめた私の様子をガン無視で、ニコニコ笑っていた


いや、ニタニタ…の方が合っているかも


「我に寄り掛かれば…落ちずに済むが、どうする？」


は！？何を言ってるんだこの天狗は！？


思わず不意な発言をされ、顔だけじゃなく身体にまで血が熱くなる


目を細め、口の端を上げ妖艶に笑う大天狗


…くそっここが地上だったらぶん殴ってやるのに！


不覚にもドキッてしちゃったじゃない！


どう考えても私を試しているに違いない


「…イケメンなのもタチ悪いわ」


私は茨木童子が好きなの


そう易々と他の男に寄り掛かってたまるか！

いつもと違う距離→←可能性

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