可能性 ページ24
「…鬼だとしてもか?」
私は目を見開いた
今、なんて?
「そなたのいうやつは、茨木童子のことだろう?」
いや、いやいやいや
私一言も茨木童子なんて…言ってないよね!?
なのにどうしてわかったの!
驚きを隠しきれていない私に確信したのか、大天狗は大きく溜息をついた
「"あの茨木童子が見慣れない人間の女子(おなご)を連れ歩いている"…と、妖の中で噂が回っていてな。そなたが先程天邪鬼達に向かって怒鳴っているのを聞いて確信したのだ」
す、全てお見通しでしたか
妖の中で噂って…近所のおばさんじゃないんだから、もう
「そーですよ、茨木童子ですよ」
私は少し自棄になって不貞腐れる
「そなたは自覚があるのか?妖と人間の寿命の差は天秤にかけることさえかなわぬ。相思相愛になろうが打ち砕かれようが構わんが…」
大天狗は一息をつく
「もし、だ。恋仲になったとしてどうする?そなたがやつを置いて死んだとしたら、悲しむのはどちらだと思う?」
想いが通じあったとしても、その後に悲しみがある
そう、言いたいの?
私は何も言えず、ただ突っ立っていることしかできなかった
「…人間という命少ない者に恋い焦がれ、日に日にその存在が大きくなれば大きくなるほど、失った時の悲しみは大きい。あの鬼はその可能性を危惧しているのではないか」
失った時の、悲しみ
「やつは、そうならないためそなたと距離を取っているのであろう。随分わかりやすいことよ」
大天狗は髪をグシャッと搔き上げる
…恋愛相談のプロフェッショナルがここにいる!
なんか凄い推論を聞かされたけど、うん!
「ん?でも待って、大天狗」
私は大天狗を見上げた
「それって…まるで茨木童子が少しだけ私に気があるような話になってるよ?」
「前提の話だ。だが…少しでもそういう存在になりかけているんじゃないか?そうでなければ、避けたりしないだろう」
た、確かにっ
そう言われると、聞いた自分が少し恥ずかしくなり顔に熱が集中する
すると大天狗は怪訝な顔で私を見下ろした
「…何を赤くしている」
気に入らん、と吐き捨て大天狗は木が沢山ある所へと歩き始めた
「あ、ちょっと!何処行くの?」
「立ち話もあれだからな。こっちへ来い」
そう言って歩き進めている大天狗に、私は半端呆れて着いて行った
55人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はぐはまさ - ranさん» ranさん!読んで頂きありがとうございますm(__)m般若ですね!少しずつ物語の中で登場させていきます(^ ^)貴重なご意見、ありがとうございます! (2018年2月3日 14時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
ran - とっても面白くて素敵な話ですね♪♪ 般若との出会いも見て見たいと思いました(*^^*) (2018年2月2日 23時) (レス) id: 1a72ca3fb7 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - いあち五めさん» いあち五めさん!あけましておめでとうございます(*^_^*) 更新遅くなってすみません!暫くこの状態が続きますが、許してください(°_°) (2018年1月2日 10時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
いあち五め - 明けましておめでとうございます!久し振りに更新されてて嬉しいです(´`*)更新お疲れ様です (2018年1月2日 2時) (レス) id: 75ac0719d6 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - ふじさん» ふじさん!コメントありがとうございます( ´ ▽ ` )わかりました!次作は大天狗との恋愛にします!笑 その作品を作るのにまだ時間がかかりますが、許してくださいm(_ _)m (2017年11月14日 16時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はぐはまさ | 作成日時:2017年10月21日 23時