下に下がるのは簡単、上に上がるのは難しい ページ20
そーっと近付いて、壁を背に私は話し声が聞こえる庭院を覗く
そこには…あの3人だけではなく、茨木童子もいた
「友よ！いい加減に私と…」
「うるさい」
お決まりのやり取りを繰り広げている2人に博雅と安倍晴明は気にせず酒を飲んでいた
…元気、だね
特別病気はかかっていないように見える
酒呑童子は"ある意味病"と言っていたが…あれは何だろうか？
「おい茨木。お前わざとあの女が消えるのを待っていただろ」
私は思わず固まってしまった
茨木童子と目が合ったのと同時に、酒呑童子の言葉が木霊したのだ
こちらに気付いた様子だったが、すぐに逸らされ何事もなかったかのように再び酒呑童子に絡みついた
なんで？
何事もなかったかのように…そんな他人みたいな目をしないでよ！
「…女なんぞ、私は知らない」
茨木童子の声が低く冷たく、私の心を貫いた
目元がどんどん熱くなっいく
私は壁を背にしゃがみこむ
偶然なんかじゃなかった、わざとだったんだ
私、あなたに何かしたの？
思い出せない、何も心当たりがない！
ただ、１つだけわかったことがある
私は少し自惚れていたのかもしれない
命を救ってくれただけで、友達探しをしただけで、水遊びをしただけで、抱きしめられただけで、傷を手当てしただけで、…ネックレスを渡しただけで！
私は再び廊下を走った
もう何も見えない、真っ暗な廊下
自分の部屋へ向かっているのは確かなはず
…茨木童子にとって、私はただの弱者で醜い人間
わかっていた、わかっていたの
だけど心の中では違うと
再び自分の部屋に入り勢いよく障子を閉める
「バカ、みたいじゃない…」
自分の都合のいいように解釈しちゃってさ
そこらへんの人達と変わらないじゃない
どんどん視界が歪み、気づけば足元には数滴の雫が落ちていた
泣くほどでもないはずなのに、私はつくづく自分勝手だ
涙を拭いて、布団を敷い横になる
何だか、疲れた
好きな人に拒まれるって…こんなに苦しいんだね
何も根拠もわからないが、あの様子だと避けているのは当然のようだ
私はギュッと瞼を瞑る
「こんな時、大天狗がいればいいのに…」
あの笛の音が聴きたい
そうすれば、心が安らぐはずだから
どうして、私のことを知らないなんて言ったの？
どんな表情で言ったの？
教えて…茨木童子
私はスッと意識を手放し、眠りへとついた
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はぐはまさ - ranさん» ranさん！読んで頂きありがとうございますm(__)m般若ですね！少しずつ物語の中で登場させていきます(^ ^)貴重なご意見、ありがとうございます！ (2018年2月3日 14時) (
レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
ran - とっても面白くて素敵な話ですね♪♪ 般若との出会いも見て見たいと思いました(*^^*) (2018年2月2日 23時) (レス) id: 1a72ca3fb7 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - いあち五めさん» いあち五めさん！あけましておめでとうございます(*^_^*) 更新遅くなってすみません！暫くこの状態が続きますが、許してください(°_°) (2018年1月2日 10時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
いあち五め - 明けましておめでとうございます！久し振りに更新されてて嬉しいです(´｀*)更新お疲れ様です (2018年1月2日 2時) (レス) id: 75ac0719d6 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - ふじさん» ふじさん！コメントありがとうございます( ´ ▽ ` )わかりました！次作は大天狗との恋愛にします！笑 その作品を作るのにまだ時間がかかりますが、許してくださいm(_ _)m (2017年11月14日 16時) (レス) id: 1b3eeb1020 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はぐはまさ | 作成日時：2017年10月21日 23時
