【陰陽師】女子高生と茨木童子 2

酒と鬼 ページ18

その不気味な笑顔に、思わず背中に寒気が走った

この鬼、苦手だわ

早く酒だけ持って帰って！

「折角だ。月を眺めながらゆっくりしていくといい」


安倍晴明は私の思いと正反対のことを述べた


げえ………


「邪魔するぜ」


酒呑童子は乱暴に座った

…私の隣に座った！？


いやいやいや悪ふざけは勘弁してくれ


いや、まず私が落ち着け！


なんとか冷静を保ち、手をつけていない盃と徳利を酒呑童子に渡した


「じゃあ私、先に寝るね」


この場から早く消えたい、そう思った私は立ち上がりその場から離れようとした…が


「おい、まて」


酒呑童子の低い声が私を呼び止めた


「…なに？」


面倒ごとは願い下げたからね


すると酒呑童子は徳利を私の目の前に差し出す


「酌をしろ」


うわあああ…やりたくない！


私はあなたのパシリじゃないんですけど！

不思議と恐怖より苛立ちがこみ上げてくる

だけど落ち着け私…こいつは暴君みたいなものでしょ？なら大人の余裕さを出して、大人の対応をするのよ！


いちいちこんな奴にイラついている時間が勿体無い！

「わかったよ」


私は徳利を受け取り、酒呑童子の隣に座って盃に酒を注ぐ


酒呑童子はグビッグビッと飲む

「ふーっ…やはり酒は心を満たすのに相応しいな」


…どうやらこいつは酒一口でご機嫌になるようだ


「桜もあり月もある、こんな贅沢なことはないだろう」


安倍晴明は満足気に呟く


「てか、お前がここにいたらやつもくるじゃねーか」


博雅は残りの酒を数え始める


やつ？やつって…


「茨木か。あいつは来ねーよ」


差し出された盃に、私は再び徳利を傾ける


あんなに酒呑童子のことが好きなのに？


いつでもどこでもついていきたい、そんな感じなのに


安倍晴明は驚いた顔で酒呑童子を見る


「病でもかかったのか？」


「ある意味病かもしれねーが…主な理由はこの女だ」


酒呑童子は鋭い目で私の方に視線をやる


…は？


そして博雅、安倍晴明もこちらを見つめた


「な、なんで？」


訳わからないよ


「貴様がここにいる限り、やつは来ねえ。それだけだ」


なるほど、だから私を呼び止めたのね


てか、なんで！？！？！？それだと避けられてるみたいじゃん！


昨日まで近くにいたのにそれはないよ！


「あの変態が酒呑童子に近付かないって…お前何をしたんだ？」


博雅がじとーっと見つめてきた


やめてくれその目！


「何もしてません！避けられるようなこともしてないよ」

理解し難い→←頭領、現る

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