角砂糖３つ分の､【角名倫太郎】 (ページ9)

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09.１組の子ページ9

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「ちょ、あいつ何してんねん…！」

遠くにいる角名くんと女の子の姿を見て銀島くんが取り乱す。

よほど一緒に帰りたかったんだろうな。

呑気にそんな事を考えつつ銀島くんの背中に視線を向けては、

またすぐにその奥の方へと視線を戻した。

うん。遠目からでも分かる。

いま角名くんと歩いているあの子は『可愛い』という言葉が似合う女の子だ。

それに対して角名くんはスマホに目を落としたままで。
軽く彼女の言葉に相槌を打っている。

て、こら。ながらスマホをするんじゃない。

なぜか無性にムッとなった。

「………？？」

？………あれ？なんだこれ。

胸の真ん中、少し下のあたりで何か重たいものがあるような感覚がする。

すごく変な感じ。

…………

角名くんはあの子や他の女の子にも可愛いと言ったことがあるのだろうか。

もし、あるのだとしたらそれはそれで────

遠くに視線を向けたまま考えが深くなりかけた時、

せや名前呼んだろ！と銀島くんの声がした。

その言葉で、ヒュンッと勢いよく現実世界に引き戻される。

え、待って。

いま名前を呼ぶって言った？？

「ああっだめぇえ！！」

「うおっ！？」

両手を広げて慌てて銀島くんの前に立つ。

特に理由はないけど今あまり角名くんとは顔を合わせたくない！

特に理由はないけど……！！！

「な、なんやねんA」

「お願い呼ばないで……！」

「はぁ！？」

「もし呼んだら、びっ、ビンタするから！」

「いや物騒すぎるわッ！！」

ビンタの構えをする私に軽快なツッコミをかます。

するとタイミングよく彼の制服のポケットから、

着信を知らせるスマホのバイブ音が鳴りはじめた。