36.試合 ページ36
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ただならぬ叔父さんとの睨み合いを終えたあと、
会場内で購入したパンフレットの各校の選手一覧を見ているうちに、
いつの間にか試合の時間になった。
やっぱり体育館内の雰囲気は想像以上で。
広い、おっきい、歓声すごい。
あ、なんか湿布の匂いする!選手全員でっかい!!
会場の匂いを嗅いだり。
キョロキョロと見渡しては「ワンコか。落ち着け」と
友人に注意された。
私、今すごい所にいるんだなぁと改めて感動していると、
吹部の演奏や大きな声援の中、
黒のユニフォームに身を包んだバレー部がコートに現れた。
わ、何これ。かっこよ過ぎやしないか。
双子はいつも以上に存在感があるし。
銀島くんはユニフォーム姿が様になってるし。
先輩方の頼もしさや安心感たまらないし。
角名くんは、んん〜ってなる位かっこいいし。
もうすでに興奮して涙が出そうになり、
周りの子たちが声を上げるのも分かった。
そして、いざ試合が始まると、
稲荷崎が周りから注目される理由が
選手全員のプレーから理解できた気がした。
特に注目を浴びていた侑くんは、
多彩な動きで、丁寧かつ生き生きとプレーしていて、
あまりバレーボールに詳しくない私でも目を輝かせた。
性格はアレとして、そりゃあモテるわけだ。
そんな侑くんを上手くフォローする治くんも、
落ち着いたプレーで観客を湧かせて。
力強い銀島くんのスパイクが決まると、
こっちまで嬉しくなって両手を上げて喜んだ。
先輩方のプレーも正確さと安定感があって、
見ていて胸の奥のほうから何か込み上げるものがあった。
だけど、やっぱり目で追ってしまうのは角名くんの姿で。
試合が進むにつれて相手選手の攻撃を正確に止めにきたり、
どんなに高いブロックが来ても確実に点を決める姿は
本当に、凄くかっこよかった。
ちゃんと来たよ、角名くん。
きっと私が居なくても貴方は頑張っただろうね。
侑くん曰くサボる癖があるけど、
ちゃんと自分の役割は守って頑張る人みたいだから。
多分、眼鏡の叔父さんも貴方を誰よりも応援しているよ。
私も微力だけど少しでも力になれる応援をするからね。
「いっ、いまの見た!?今のっ!」
「うっ、見た見た…くるし……ッ!!」
初めての試合観戦に興奮した私は、
角名くんが点を決めるたびに友人に抱き着いては喜んだ。
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作者名:. | 作成日時:2020年1月29日 23時