38.会話 ページ38
.
「わっ、角名くん」
角名くんの姿をみた途端に、
さっきよりも大きな音を立てて心臓が動き出して。
一気に顔中が熱くなった。
今ぜったい顔真っ赤だ。あーマスクつけとけば良かった。
今さら顔を隠せないことに嘆いていると、
気をつかったのか友人が銀島くんの腕を引っ張って
そそくさと3年生の所へ逃げるように行ってしまった。
そんな二人を角名くんは軽く笑って見送ると、
「いまちょっと話せる？」
私のほうに視線を戻して、あの色気のある表情で聞いてきた。
話せる、話したい。
角名くんに伝えたいことがたくさんある。
「うん。全然話せるよ」
笑顔でそう答えると角名くんは少し嬉しそうに微笑んだ。
*
「どうだった？春高」
「もう全部がおっきくてビックリした…！」
「ブーイングとか驚いたでしょ」
「うん。一緒に応援してるのに本当に怖かった」
「普通じゃないよね」
東京のこと泊まってる宿でのこと、
試合前のこと、試合中のこと、応援側のこととか
お互いにたくさん話す。
楽しい。まだ帰りたくない。もっと此処に居たいなぁ。
角名くんと話しながら強くそう思った。
「でも本当に大活躍だったね、角名くん」
あなたが点を決めるたび歓声が上がって。
近くにいた女の子なんて大騒ぎしてたんだよ。
正直に言うと、とっても複雑でした。
「まぁ半分はやる気で、残りはAちゃんのおかげ」
「思ってもないくせに」
「あ、疑ってんの？ちゃんと思ってるよ｣
疑いの眼差しを向けるとクスクスと笑われた。
「Aちゃんがホントに春高来るって知って嬉しかった」
「…………！」
「俺が無理やり誘ったのに、ありがとね」
そう優しい声で言われて心臓の音がさらに大きくなった。
体の奥から何か熱いものが込み上げてくる。
ああ、やばい。…どうしよう、好きだ。
「角名くん」
「ん？」
「ちょっとだけ。私の話聞いてくれる？」
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作者名：. | 作成日時：2020年1月29日 23時
