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銀「聞こえるか、A。俺の呼吸と合わせて息吸って、吐いて」
耳に届く彼の一定の呼吸に合わせて深く息を吸って吐く
銀時の心臓の音が、あの頃と変わらない心地よいリズムが私を泣かせようとする
だめ、泣いちゃダメ。
早く離れないと都合のいい私は期待してしまうから。あの頃に戻れると勘違いしてしまうから、
「も、大丈夫だから.........銀時?」
離れようとするも今度は簡単には出来なかった
銀時が腕を退かさない
それどころか回された腕は力が強まるばかり
銀「...もう離れないでくれ」
頭に降ってきた掠れ気味の声に混乱する
離れるな...?
なんで、だって、あなたは私に面見せるなと、会いたくないと言った
だから私は貴方の元から離れた、逃げた。
銀「とりあえずこのまま聞いてくれ。まず俺はお前の事を嫌っちゃいねェ」
「え、でも...」
銀「いいから、聞けって」
ぎゅ、ともう一度込められた力に静かに頷く
銀「その、ずっと話したかったんだ。」
ずっとって、どのくらい?
私はたぶん、銀時以上に長い間思ってたよ
銀「あの時の写真がお前じゃなかったこと知って、お前は何一つ悪くねェのに突き放して傷付けて、お前を壊しちまった」
そっか、私と銀時が別れた理由ってあの写真だったな
銀「俺がちゃんと話を聞いてれば、お前が町を捨てる事も腹に傷を付けることも大事な奴を失う事も無かった。お前から、沢山奪っちまった」
銀時は隠してるつもりなんだろうけど声が少し震えてる
ここまで銀時が追い込まれてるのは初めて見た
体温、匂い、声、優しさ、距離感、あの頃と変わらないものに戸惑いと少しの嬉しさでじわりと涙が滲む
銀「...A?泣いてんのか...?」
小さく震える私に気付いたのか1度離して顔を覗かれる
ただ、背中に回された腕は絶対に離れない。
伸ばした彼の手が、親指が私の目元に触れて涙を拭われる
その手付きが優しくて、懐かしくてまた涙が零れてしまう
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美姫(プロフ) - めっちゃ感動しました。本当にありがとうございます! (2021年5月8日 23時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - 勇者の人さん» 勇者の人さんありがとうございます(TT)(TT)まさかコメント貰えるとは(TT) そんなこと言っていただけて光栄ですありがとうございます!!! (2020年11月29日 7時) (レス) id: 680e3bc541 (このIDを非表示/違反報告)
勇者の人(プロフ) - 完結おめでとうございます!ハッピーエンドで少しホッとしました(笑)文才やセンスもあるし、全体的に見てもよくできていて、とても素晴らしい作品でした。これからも頑張ってください、応援していますよ! (2020年11月28日 17時) (レス) id: 0ba614db75 (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - クルルさん» クルルさんありがとうございます〜(TT)クルルさんのコメントに号泣ですよ(TT)新作も頑張りますので是非呼んでくださいね(*^^*) (2020年11月27日 21時) (レス) id: 680e3bc541 (このIDを非表示/違反報告)
わか(プロフ) - 陽さん» ありがとうございます!!私もシリアス書ききれるかとすごく心配で何回か書き直したりしてました...笑 そんなこと言って頂けるなんて嬉しすぎます私も陽さん大好きです(TT) (2020年11月27日 20時) (レス) id: 680e3bc541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わか | 作成日時:2020年7月20日 16時