ここにいて ページ37
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「わたし・・・その、」
大「・・・・・」
「お、大倉さんには、見せないでおこうって決めていたのに・・・っ」
喉の奥、肺の辺りが、詰まる。
その言葉と態度で、なんとなく、
なんとなく思い浮かべた予測が当たっていることに
気づかないほど俺だってバカではない。
まるでどうしても知られたくなかったのだと、
・・・それこそ俺の新品のソレを見られてどうとか
そんなんよりずっとずっと絶大な絶望感
怯えたように床を見つめ続けるAさんの左のひとみが、また黄金色に光っているような気がして、それで。
俺は。
大「なあ、寒い」
「・・・へ」
大「寒いわ」
「・・・？」
大「なんでもいいから・・・こっち来てよ」
見開かれた飴色の目が戸惑うように揺れている。
おそるおそる近づいてきた彼女の手を
もうどうにでもなるやろ、なんて
勢いに任せて掴んで・・・
思いっきり引き寄せて、そのからだを抱きしめた。
いつか好きな子をこんなふうに独り占めできたらなあと、何度も妄想したとおり無駄に広い自分の胸の中へと拘束する。
相手は好きな子というよりAさんやけど。・・・ふわっとやわらかい香りがして、あ、女の子のにおいやって・・・ビクンと胸が高鳴って。
髪を撫でたら、そのからだがギュッと強張るん。
何よ、自分・・・こんなん慣れてるくせに。
俺の服をきゅうと掴んでくる手はまだ震えてる。
「・・・お、くらさ」
大「・・・あっためて」
「・・・・・」
大「俺、寒いねんて」
―この女は人間じゃない！！―
―ば・・・バケモノ・・・―
―穢らわしい悪魔の娘よ！・・・―
なんでこの子が謝らなあかんのやろ。
俺・・・なんで謝らせてしまったんやろう。
べつになんだっていいやん。
だって、Aさん。
こんなにあったかくてやわらかい
大「俺が寝るまででいいから、ここにおって」
熱に浮かされてる、というふりをして
ゴロン！とベッドに寝転がると
ガバッ！と布団を掛けてしまう。
もちろんAさんを抱きしめたまま。
ばくん、ばくんと鳴る心臓も無視してしばらくそうしていたら、そっと彼女の腕が、背中に回ってきた。
Aさんは泣いていた。
俺の胸に顔をうずめて。
ぽろぽろと、声を押し殺して、だけどちいさな子どもみたいに縋るようにして、泣いていた。
.
それがなんだか痛かった。
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べに(プロフ) - megumonkeyさん» わ〜〜ありがとうございます！^^ めちゃくちゃ気まぐれになりますが更新していきますね！ (2021年9月27日 15時) (
レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
megumonkey(プロフ) - 続きか読めてとても嬉しいです‼︎ (2021年9月27日 12時) (レス) @page38 id: fa40db60d7 (このIDを非表示/違反報告)
megumonkey(プロフ) - 更新ありがとうございます！楽しみに待っていました！！ (2020年10月5日 18時) (レス) id: fa40db60d7 (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - ココナッツさん» 戦闘シーンわりと中2クサイけど書いててめっちゃ楽しいです〜〜！！ (2020年8月1日 17時) (レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - ぬあああああああ！！！！！（言葉にならない素晴らしさ） (2020年7月25日 15時) (レス) id: 672a09a9f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2020年7月11日 20時
