合わない視線 ページ36
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食べ終わったら呼んでほしいのです、と
おそらくAさんも相当気まずい思いをしてるんやろう、そそくさとソファに移動してはこちらに背を向けてまう。
ヘタレなもので、その反応にもわりとショックを受ける・・・
だっていつもやったら軽いノリで下ネタ言うやん。
もうこの際ネタに繋げてよ。お願いやから。
「・・・お、おいしいのです?」
大「んぐっ!? う、うん」
「食欲はあるみたいでよかったのです」
大「・・・うん・・・」
全然味がわからんまま完食して、ごちそうさま。
再びそそくさと移動してきたAさんは
そそくさと食器の片付けをはじめる。
そのとき、ふと目に入った――――首筋に貼り付けられた大きな絆創膏。
それでまた思い出した。
戦場でのあの、彼女の身から溢れ出た黒い影。
亮ちゃんの突き立てた注射で、その異様な影が幻のように消えていった瞬間。
「任務おつかれさまだったのです」
大「・・・うん」
「しばらくゆっくり休むといいのです。休暇でリセッシュするというのも武人として大切なことなのです」
大「・・・・・」
それを言うならリフレッシュな・・・何を除菌すんねん・・・と突っ込みたいところやったけど、なんや、Aさんのようすがおかしい。
視線がまったく合わへんねん。
このよそよそしさはさっきのハプニング・イン・バスルームが原因というより――――あの戦場でのことから来てるんちゃうかな?って。
や、勘やけど。
なんか既視感あるん、だってAさん、
あのときも一度も俺のこと見なかったから。
大「・・・なあ、Aさん」
食器を抱えて出て行こうとする背中が、ビクッとして立ち止まった。
俺はその背中を見て
スメラギの奴らの言葉を思い浮かべる。
バケモノ、とか。
人間じゃない、とか。
悪魔の娘、とか――――
―奈落の底、死の深淵に帰せよ。人間共―
大「その、Aさん、あのとき――――」
「ごめんなさい」
翻るように振り向いたAさんは
俺を遮って、深く、頭を下げた。
「怖がらせて・・・ごめんなさい」
大「・・・・・」
「・・・わたし・・・」
白くて小さな手。
その手が、ワンピースの裾を
ぎゅうっと強く掴んでいる。
心臓が、つきん、と痛んだ。
ふるふると震えているそのからだは、今まで見たことがないくらい・・・弱々しくて。
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べに(プロフ) - megumonkeyさん» わ〜〜ありがとうございます!^^ めちゃくちゃ気まぐれになりますが更新していきますね! (2021年9月27日 15時) (レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
megumonkey(プロフ) - 続きか読めてとても嬉しいです‼︎ (2021年9月27日 12時) (レス) @page38 id: fa40db60d7 (このIDを非表示/違反報告)
megumonkey(プロフ) - 更新ありがとうございます!楽しみに待っていました!! (2020年10月5日 18時) (レス) id: fa40db60d7 (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - ココナッツさん» 戦闘シーンわりと中2クサイけど書いててめっちゃ楽しいです〜〜!! (2020年8月1日 17時) (レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - ぬあああああああ!!!!!(言葉にならない素晴らしさ) (2020年7月25日 15時) (レス) id: 672a09a9f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べに | 作成日時:2020年7月11日 20時