推理する夜叉 ページ39
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章大は素早く片付けを済ませ、すこし心配そうな表情を浮かべながらも広間を出て行った。
あいつは本当によく空気を読む、と――――横山は去っていく章大を見て思い、Aと二人残された空間で一度、深呼吸をする。
相変わらずAは、花のように甘いにおいがする。
これだけ距離が離れていても鼻に掠めるのは、己の鋭い五感のせいなのか、それとも彼女の香りがそれだけ強いのか――――
「X・・・大倉さんのことなのです。詳しく言えば、大倉さんと翡翠丸について」
Aは言って、横山の目をまっすぐに見据えた。
黒い、ただ黒い石のような、ひとみ。
「さっき信五も言っていた通り・・・あんなに一致したタイミングであれだけ強い物の怪が現れるのはおかしい」
横「・・・・・」
「たしかに、あのとき感じた大地の振動は大きな境門が魔界側から開かれるときのそれだし、今回の件が呪術式で引き起こされたことだとは思わない。
でも、自然的な現象とも思えないのです。
・・・あの瞬間の大倉さんから放たれた魔力には、正直ゾッとしたのです。
"あのひと"がとっさに、逃げろ、と反応したくらいに」
Aはその瞬間を思い出したかのように左の二の腕をさすって、続けた。
「わたしのようには"封魔のまじない"を付けていない大倉さんの放った魔力は、すべてまるごと本人の破魔の宝玉に向く。
神的魔力の放射・・・それを直に受けて尚ひとつしか破損しなかった翡翠丸の宝玉・・・まるで引き金を引いたように現れた八岐大蛇・・・そして、覚醒をせず術式魔導も使わずしてその首を落とした大倉さん。
彼がここへ来てすぐの頃、一目見たときから、一本目に扱うにしては良質過ぎる刀だと思ったのです。
翡翠丸には・・・何か相当な呪いか、あるいは神霊的な力が練りこまれているのでは？」
Aの意見に、横山はにやりと愉快げな笑みを浮かべる。
ほう、と吐き出した息に感心の色が混ざった。
彼はその豪奢な席を立つとコツコツと靴底を響かせ、Aの方へと足を進める。
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べに(プロフ) - ゆうみさん» ゆうみさん、コメントありがとうございます！わああとってもうれしいです、励みになります！(；；)お話はまだまだ続くので、頑張って更新していきますね！ (2020年7月2日 1時) (
レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - とっても面白いです！シリアスなのにコメディタッチで、とっても読みやすいしとにかく物語に引き込まれました！一気に読み進めて続きが楽しみです！更新頑張ってください♪ (2020年6月30日 21時) (レス) id: bea5fb83fd (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - ココナッツさん» わーーんめちゃくちゃうれしいですうう(；；)ありがとうございますなのです！(エルちゃん風) (2020年6月22日 21時) (レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - べにさんお疲れ様です！私個人の意見ですが、もうこれは無料で読めるアプリの域を超えているような素晴らしさなのです(エルちゃん風) (2020年6月21日 8時) (レス) id: 5d604581ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2020年5月22日 21時
