身体検査 ページ21
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キィン、と、耳鳴りに似た金属音がきこえた。
よく、わからへん。
けどなんか若干、目がまわっている、ような。
安「・・・えーっと、なになに？」
視界の隅で、安田さんがテキパキとせわしなく動いとる。
対して俺はふわふわと
まるで雲の上にいるような浮遊感に包まれていく。
眠い。
頭の芯がぼやけて。
安「・・・・・」
「どう？」
安「・・・うん、検知してた通りやね。でも、思ったより危険かもなあ、これ」
ふと、カレンの横顔が、目の前を横切っていった。
声をかけようとしたのに、カレンは俺に気づくことのないままどんどん遠ざかっていってしまう。
たあくん。
呼んでる声はきこえるのに、からだが、動けへん。
思えば俺はいつもそうやったな。
勇気が出んで、全部自分の中に押しこめて
別れようって言われたときも
いややと言えずに黙って頷くことしかせんかった。
やからなんかなあ
幼馴染のままでいたほうがいい、っていうのは。
安「・・・アカン、こいつが振り切れてまうわ。上位改造したのになあ・・・Aごめん、装置止めて。それとあと、被験体・・・大倉くんに何か飲みもの」
「わかった」
・・・しばらくして、幻影は音もなく消えていった。
妙な金属音も消え、代わりにきこえてきたのは、安田さんのおだやかな声。
安「大倉くんお疲れさま。もう終わったで、これ外すな〜」
大「・・・なんやったんですか？検査って」
安「ん〜？ 健康診断みたいな感じかな」
Aさんが、ご褒美と言わんばかりにオレンジジュースを持ってきてくれる。
なんていうかちょっと
ビーカーで飲みもん飲むのは抵抗あったんやけど
彼女がじっと固まって俺が受け取るのを待ってるから、さすがに要らんとは言えんかった。
オレンジジュースは庶民的な味で、普通においしい。
安「気分は？いける？」
大「あ、えっと、はい」
安「んふ、なんや堅苦しいなあ。敬語やなくてええんよ？今日からもう仲間やし、家族みたいなもんなんやで」
家族。
・・・びっくりして、思わず安田さんを凝視してまう。
大「・・・えっと」
安「はい！てことでおれはおーくらって呼ぶことにするから、おーくらはおれのことヤスなり章ちゃんなりなんでも好きなように呼んでや」
Aさんは椅子に乗っかって
真顔のままぐるぐると回転している。
心ここにあらずといったふうに、ぐるぐると。
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べに(プロフ) - 稲妻さん» わ〜！ありがとうございます！！気まぐれ更新ですが楽しんでいただけるよう頑張りますね〜！！ (2020年2月16日 23時) (
レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
稲妻(プロフ) - めっちゃ面白いです！更新楽しみにしてます！ (2020年2月16日 15時) (レス) id: b45af291eb (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - megumonkeyさん» はじめまして！コメントありがとうございます〜！！わたしの趣味全開ですが、そう言って頂けるととってもうれしいです…！気まぐれな更新にはなると思いますが、楽しんで頂けるようがんばります！(^^) (2020年2月13日 0時) (レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
megumonkey(プロフ) - はじめまして。すごくスケールの大きい話でドキドキ楽しませて頂いてます。大倉くんがこれからどうなっていくのか、とても楽しみです。次の更新楽しみにしています (2020年2月12日 18時) (レス) id: fa40db60d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2020年2月11日 23時
