手 ページ38
kn side
『…陛下は、私の光なんです。』
Aはそう言って、俺の額の上にあるタオルを取って、氷水につけた。
『ありがとうございます、陛下。
伝えるのが遅くなってしまいました。』
しぼったタオルが額に戻される。
初めて知った。
Aのこと。
kn「昔の俺が、Aを救えてて良かったわ、笑」
人が偶然を運命と言いたくなる気持ちがわかる気がする。
もし過去が違えば、
Aと結婚して、こんな毎日を過ごせてないかもしれない。
『もっとそう思っていただけるように頑張ります。』
Aはそう言って少し微笑んだ。
まぶたが重くなっていく。
食後だからだろうか、まだ寝たくないのに
体調不良によって体力の奪われている身体はあまり言うことを聞いてくれそうにない。
kn「…A、」
『はい、？』
手を伸ばす。
ひんやりとした感触が手に触れたのを最後に、
俺の意識は暗転した。
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
ー
・
＿＿ふと、目が覚める。
緩やかに燃える暖炉の音が耳に入る。
意識がだんだんとはっきりしていく。
kn「…ｯく、はあぁ〜…」
『おはようございます。』
その声を目で追う。
あぁ、そや、Aが診てくれとったんや。
kn「おはよ…」
ふと違和感を感じて目線を下げると
細く小さな手が、俺の片手に収まっていた。
ゆっくりと上半身を起こして、少し体を伸ばす。
『お身体は大丈夫ですか？』
kn「おー、だいぶ良くなった気がする。」
『そうですか、良かったです。』
随分とぐっすり眠っていたらしい。
時計は…午後18時を過ぎたところ。
おおよそ5時間ってところか。
ちょっと寝すぎたな…
するりと手が離れる。
Aは枕元に落ちたタオルを水桶につけて、乾いたタオルで手を拭いた。
『熱があるかどうか、診させてもらいますね』
ひんやりとした手が額に触れる。
あぁ、これか。眠りに落ちる前のあの感触。
…ずっと、握っててくれたんかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イデア(プロフ) - めさん» な、なんだってーー！！？(((すいません初コメにテンションが上がってしまいました、ありがとうございます…！！励みになります！ (2022年8月21日 0時) (
レス) id: 8186d383a3 (このIDを非表示/違反報告)
め - この作品ほんと大好きです (2022年8月21日 0時) (レス) @page47 id: b02816ae41 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イデア | 作成日時：2022年6月19日 0時
