雫

27粒。 ページ27

あれからリハビリ的なものを繰り返して無事1週間には間に合った。



毎晩外に歩いたのが効いたようだ。
あたしも、人間として最低レベルしかなかった体力が少しアップした気がする。
ちょっとやそっと走っても息が上がらなくなった。



そんな日々も終わる。



今日で全部、終わる。



思えば長すぎたこの歳月。
やっと報われる時がきた。



『時間まで、何しよか』



生きた証は残さずいこうと思ったのだけど
馬鹿な政府の考えていた大掛かりな計画は
世間に知らしめようと、真っ白な紙を事前に用意しておいた。



この数時間の間。
全てとはいわない。
何なら一言でもいいから、



今まで犠牲になった子供たちの分も背負って悪事を暴き消え去る。



それが出来るのは2人だけ。



｢書いてほしいの。思いでも言いたいことでも、消える前に｣


『…好きなように？』


｢うん、もう犠牲は出ないように。二度とこんなことをしでかそうとするやつが出てこないように｣



小説でもよくあった。
死をもって真実を解き放つ。
なんだか物語の主人公になったみたいだ。



『分かった』



あたしたちは肩を並べてボールペンを握り、黙々と白い紙を黒いインクで塗りつぶしていった。

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