cafe碧空日記 <短編：chocolate記念日 >

3　cafeの模様替え　 ページ3

二月の準備、どうしようか相談しないと。


N「ちょっと、蔵にいってきますね。」

A「じゃあ、二人分のおやつ持って行ってよ。」


今日は、オープンしたけど、
路面が凍結しているせいか
まぁ単純に寒くてみんな外出しないのか
客足は鈍い。

こういう日こそ、気分転換もかねて
模様替えにちょうどいい。

放射冷却なのか、陽射しは強くて、凍った地面や木々がキラキラしてる。

寒いのは苦手だけど、
製作に集中しているさとしの様子を見るのも興味深いから。

まさきが、準備してくれた紙袋を持って、自転車にまたがる。
駐車場を横切って、道路向かいに行くだけなんだけどさ、
なんていうのか・・・気分かな。


トントン


ドアを叩いても返事がない。


ギギーッ


重いドアを開ける。


N「お、やってるやってる。」


蔵の裏の工房は、打ちっぱなしの床、薪ストーブ。
小さなラジカセからはさとしの好きな洋楽が小さい音量でかかっていて。
薪ストーブの上ではやかんがシュンシュンなっている。

さとしはその室内で、床に寝転んで、一心不乱にスケッチブックに向かっている。
窓から刺した陽射しが、
その背中に柔らかく降り注いでいる。


そーっと、そーっと

近づいて・・・。

日頃のcafeでの顔とは違う、
職人の顔・・・。
へぇ・・・、こりゃ、じゅんくんが憧れる訳だな・・・。

一応、せっかくの作品に手元が狂うことがないように、
ペンが止まった瞬間を待って


N「さーっとし！！」


頭を軽くスコーンと叩く。



O「うわああああっ」


驚いて、弾かれたように、後ろ手にひっくり返る。
その上に跨って、顔を覗き込む。


N「おやつのじかんですよー。にのちゃん急便がお届けしました。」

O「もう、びっくりしたよぉ」


ふにゃふにゃ笑う。
手を引いて起こして、その横に俺も腰かける。


N「今、イメージしてるのはなにですか？」

O「うーん、こどもの絵・・・。なかなか完成しないんだけどさ。」


2人でそれを眺めながら、
持ってきた珈琲をカップに注いで飲む。
最近さとしもブラックでよくなったから、ブラックを二杯。
そこに、チョコクロワッサン。


O「うん、うめぇ。」

N「ここで、一人でさびしくないんですか？」

O「うーん、書き始めるときにはならないや。」


まぁ・・・そうなんだろうなぁ。
作品作りとなるとしょうさんも、立ち入ろうとしないから。
そういう二人の距離感・・・ちょっといいなと思う。


O「で、どうしたの？」

4　cafeの模様替え2→←2　相談事

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す