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26.悲壮 ページ27

太宰said






隣から聞こえるのは小さな規則正しい寝息






「……」




私はAの涙を拭き取った






時折魘されながら涙を流す隣のA






悪い夢、かな







「ん…」






するとAが目を擦った







起きた?



私は何も無かったかのようにそばにあった本を開き読書の振りをした






ずっと君の様子を伺っていたなんて云うのは何だか示しがつかなかったから








「大丈夫かい?
相当魘されていた様だけど」







すると此方を向いたA





「あ、太宰さん!」




そして私の名を呼びながらゆっくりと上半身を起こした





「悪い夢でも見ていたのかな」






私は本に目をやりながらそう問いた




其の質問に素直を頷いたA








「どんな夢だい?」








「過去…
過去の夢」







過去の夢、か




私はAの過去を知っている




だからこそ、深くは追求しなかった







「ねえ、太宰さん」









「なんだい?」





私は開いていた本を閉じてAの目を見た








少しだけ目が合ったけどすぐに逸らされてしまった







「…今日は、誰も殺 してない?」







少し驚いた






「嗚呼、Aは一人も殺めていない」





「…良かった」





私がそう云うとにこやかに微笑んだA


周りに舞った雪を私が独り占めできるのは嬉しかった




「後、ひとつだけ質問、していい?」





「嗚呼」




一息置いて放ったAの言葉に私は凄く重みを感じて






「太宰さんは、私の傍から消えない…?」





少し嬉しかった




「勿論、私はAの傍から離れないよ
Aは放っておけないからね」




それだけが理由じゃあないけど



もっと大きな別の理由があるのは秘密







私が返事をするとAはすこし驚いたような顔をして次第に涙が目に溜まっていっていた








「今日は泣き虫なんて云わないから泣き給え」





するとAの頬にはひとすじの涙がつたった






「…うん!」





いつの間にか私はAを抱き締めていた







「怖かった…!もう独りになりなくなかった
誰も変わって欲しくなったのに…!」






きっとこの子はこの小さな背中に大きなものを背負いすぎていたのだろう






生まれた時から愛されることを知らなくて

ずっと独り




周りの人は知らぬ間に変わっていき自分の事を蔑む






どんなに怖かったのだろう




辛かったのだろう






測り知れないもの

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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中二病メープル - 太宰さんツンデレ?好きな女の子には嫌がらせしたい的な。すっごく面白いです! (12月3日 9時) (レス) @page36 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 凄く面白かったです!これからも、更新楽しみにしてます!頑張ってください(*^-^) (2018年3月26日 16時) (レス) id: fb750e4c11 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - 響華さん» あ!!お恥ずかしい…笑ありがとうございます! (2018年3月3日 21時) (レス) id: 170cdda07e (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - ウンディーネさん» ファンですか……?!こんな駄作に…ありがとうございます!頑張りますっっ!! (2018年3月3日 21時) (レス) id: 170cdda07e (このIDを非表示/違反報告)
響華 - said×→side○ (2018年2月12日 18時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なの | 作成日時:2017年11月2日 19時

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