花散る前に雪よ舞え【太宰治】

19.羨望 ページ20

Asaid






「…あの
えーと、調査の御依頼だとか
それで……」







応接室の椅子に座っている綺麗な女性






電話の相手は彼女だったみたい





今回の応接は谷崎くんがしてくれた



谷崎くんがしてくれた方がことが早く済むからいいよね


私も見習わないと







「美しい…
睡蓮の花のごとき果敢なくそして可憐なお嬢さんだ」







太宰さんは彼女に手を添えてそういった



私は内心羨んだ


矢っ張り、美人さんの方が好きなのかあ
私にはかないっこない






「…Aちゃん、しょげなくて大丈夫だよ」







「え？！」





敦くんは私に微笑しながらそう云った


顔に出てたのかな


恥ずかしすぎる








「どうか私と心中して頂けないだろ＿＿」






すると太宰さんは国木田さんにスパッと頭を叩かれた






痛そう……





「あ、済みません
忘れてください」




彼女は連れていかれる太宰さんをチラチラと見ながら話を続けた






「それで」






なんか臨機応変って凄い







「小僧
お前が行け」








「へッ！？」





結局、今回の依頼は敦くんが行くことになった

と思っていた






「谷崎と朝比奈も一緒に行ってやれ」








「わ、私もですか？！」







「嗚呼」







「でも、私が行っても…足を引っ張るだけです」









「は？お前は何だ
調査員だろうが」





私は国木田さんの言葉にハッとした








「調査員…！」






その言葉が凄く嬉しくて





私は深く頷いた






結局、この依頼は私と谷崎くんとナオミちゃん
そして敦くんと行くことになった

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