9.十年前 ページ9
当時の私にとって確かだったのは
春風が心地よかった事ぐらいか。
＿＿＿＿十年前
「A、ほら挨拶」
「……いや」
私はドアノブを背伸びしつつ、強く握った
「ごめんね
この子、凄く人見知りで」
越してきた当時、私は極度の人見知りだった
それで案の定
湊と静弥とそのお母さん達が挨拶しに来ても、私は姿を現さず玄関止まり
「お菓子、持ってきた」
「あら、ありがとう
渡しとくわね」
A、お礼ぐらいいいなさい？
とお母さんは私に言った
玄関から少し外を覗くと見えた
男の子二人とお母さん二人
ちらりと覗き込んだ私に気づいたのか、一人の男の子は微笑んで私に手を振った
今考えたらあれは静弥だったのかな
「…ありがとう」
そう言うと私は直ちに扉を閉めて、部屋に戻った
貰ったお菓子を見ると
二人が書いてくれたであろうメッセージと不格好な絵がお菓子のパッケージに書いてあった
それから確か、半年後
挨拶以来、全くと言っていいほど会っていない二人の姿を忘れかけ始めた頃
私はエアコンの壊れた部屋の
夏の暑さに負けて、家の外の水路で遊んでいた
今考えたら何やってんだって感じなんだけど
引きこもりの割に小さい頃から動物が好きだった私は、その水路で屈みながら魚を探す為に枝で水路を漁っていた
「そこに魚、いないよ」
「え？」
振り返るといたのは二人の男の子
「でも、俺はこの前見た」
「え？
でも、お父さんはいないって言ってたけど…」
すると、一人の男の子は私の隣に私と同じように屈んだ
「いるよ、きっと」
それで、夕暮れまで三人で魚探したんだっけ
結局見つからなかったけど、それを気に私は湊と静弥と仲良くなったんだよね
「きゅう…どう…？」
夕暮れ時
「弓道…？弓を打つ、あれ？」
「違う
打つじゃなくて、引くっていうんだ」
湊は弓道の射形をした
それが、出来ているのか出来ていなかったのかはよく分からなかったけど、
私には取り敢えずかっこよく見えた
「へー、凄い」
「…かっこいい！」
「だろ！！
でもまだ俺ら以外誰にも内緒
上手くなってから言いたいし」
「わかった」
「約束、だね！」
すると、私の携帯が鳴った
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雪見(プロフ) - とても面白いです！！更新頑張ってください！！！ (2018年12月31日 0時) (
レス) id: 27975a6d3f (このIDを非表示/違反報告)
ひなか。(プロフ) - ゆりあさん» コメントありがとうございます！！静弥君いいですよね！十話号泣でしたもんｗでも、みんないいので推し定まらないです…笑更新頑張ろうと思います！ありがとうございます ´ω` ) (2018年12月27日 2時) (レス) id: 170cdda07e (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - コメント失礼いたします！静弥君いいですよね！私は箱推し寄りの静弥、本村部長推しです！！作品の更新頑張って下さい！ (2018年12月24日 17時) (レス) id: d2747e2ebf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひなか。 | 作成日時：2018年12月23日 18時
