居 眠 り エ ス ケ ー プ 。【ツルネ】

17.見えない顔 ページ17

「あ、それ」





「そう、折川と同じキーホルダー」




それがどうしたのだろう
と私は疑問を持つ





「これね、かっちゃんが買ってくれたんだよ」





「え？」




小野木君が？




「分かりもしないのにね
俺が最近ハマってるんだって
言ったら買ってきてくれたんだ

あの顔でこれをレジまで持っていく想像したら、少し面白い」




と如月君は私に微笑んだ




「伝えるのが下手なだけなんだよ、かっちゃんは

だから勘違いされやすい
だけどちゃんと人並みに、いやそれ以上に皆のこと見てる」





案外、一番ピュアかもよ彼

とキーホルダーを眺めながらそう言った如月君






まだまだ、知らない事ばかりなのに
私は彼を否定した




「何してんだろ、自分」




「え？」



頬を伝う涙




「私、多分小野木君に嫌われた」




私は袖で涙を拭う




「関係ない人とか酷い事も言った
彼の練習に対する素晴らしい姿勢も否定した」




私は思わずかがみ込んだ





「本当は、私には出来ない全力な姿勢が羨ましかっただけなのに」





それを棚に上げて…

そう言うと如月君は私の頭を撫でた





「こんな可愛い女の子に泣かれるなんてかっちゃんもやるようになったよね」





「え？」





「きっと、許してもらえるよ」





「でも…」




「かっちゃんもさっき悩んでたから」





「悩んで、た？」






「口にこそ出さないけど、分かりやすいからね」




行っておいでよ
如月君はそう微笑んだ




「…うん」



ありがとう、如月君
と言って私は立ち上がる





「あ、そうだ」




如月君は私の手首を掴んだ




「ん？どうしたの？」





「…やっぱいい
頑張ってね！仲直り！」




「仲直りは、出来るかわからないけど…
取り敢えず、頑張る」



そう言って私はその場を後にした




如月君は何を言おうとしたんだろう
そんな疑問を頭の片隅に置きつつ

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