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「大丈夫です」
リ「良かった。ごめんね」
「はい、・・・お気になさらず」
リ「(苦笑)」
リリさんは去年見た時よりも随分雰囲気が丸くなってて・・・なんか、すごく変わった気がする。先生の存在が関係しているのかもしれない。先生みたいな人と毎日いたら、そりゃあ変わるかもしれない。って、こんなこと思ってるの失礼かもしれないけど。
「あの、」
リ「え？」
行こうとした彼女を引き止めた私にリリさんは目を揺らして困ったように私を見つめた。そんなリリさんが「なに・・・？」と深刻な顔をした瞬間、男性トイレから出て岸くんが私たちをその目に捉えて「・・・え？どういうコンビ？」とぽかんと私たちを見つめた。
岸くんは・・・知らないのか。
「・・・、」
リ「お取り込み中」
岸「あ？そうなんだ、」
じゃあね〜とリリちゃんだけに手を振ってからじっと私を見つめた岸くんは口角を上げてその場を離れた。
リ「・・・で、どうかしたかな？」
「あの、」
ずっと言いたいことがあったんです、と口にする私に彼女は綺麗な顔を歪めた。綺麗な瞳が真っ直ぐ私を射抜く。不安の中にある芯の部分が見えて、この人はすごく強いんだなとその顔を見つめて思ったりする。
「以前は傷つけるようなことを口にしてしまって、申し訳ありませんでした」
リ「・・・え、」
えっと、Aちゃん？と彼女は口にして頭を下げた私を困ったように見つめると「あの、いいからっ」と声を上げた。
リ「そんなの忘れたよ」
「・・・、」
リ「だから、別に大丈夫だし謝ることじゃないよ」
「けど、」
リ「あの時、美勇人が代わりに謝ってくれたし」
ずっと眉が下りきった彼女は「・・・本当に、いいの」とぎこちなく笑うと、「おかげで先生に出会えたから」と頷いた。
「そうなんですね、」
先生の恋人があなただってことを頑なに隠されてた理由は、先生がきっと私のことをずっと前から知ってたからで。このことを先生はちゃんと知ってたからで。
リ「だから、気にしないで」
お互いに気まずいのは・・・いやでしょ？と彼女は私の顔を覗き込むと「普通にしたいから、もう昔のことは忘れて？」と落ち着いたように口にした。
・・・大人だ。
リ「私は今が幸せだし、あなたもそうでしょ？」
「・・・はい、」
リ「美勇人も幸せそうで、だから・・・良かったなって思ったの」
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作者名：愛美
| 作成日時：2020年9月8日 23時
