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立て続けに聞こえる「おい、あいつもう寝たんじゃん？」「ハァア！？飲むなら俺行くっつったくせににぃ〜なんだよ〜」「ほら、風磨戻るぞ」という樹と風磨の会話を耳にした
俺らはお互いに見合わせたまま苦笑いをした。
美「邪魔が入っちゃいましたね。じゃあ、それでは」
「きゃっ！」
美「シーッ」
「急にするから！」
美「ほら、黙ってて」
ベッドにAを押し付けて「・・・そのつもりで来たんじゃねーの？」と小さく問いかけると彼女は俺をじっと見つめてからバツが悪そうに目を逸らした。
「・・・、」
美「ん？」
「っ、」
頬に手を当てて彼女の顔を覗き込むとただ黙り込むけど・・・知っているんだよ、俺は。
美「Aが甘えたになるタイミングって、いつも同じだよね」
「え？」
美「寂しくて肌恋しい時。特にしたあととか。絶対に離してくれないもんね？(笑)」
「・・・っ、」
美「ふふ、今日はもうやったのにそのあと恒例の甘えたタイムがなくてご不満でした？」
ハッとして俺を見上げるAは瞳を揺らして俺の腕に捕まる。
「みゅうさん、ひどい」
美「え？(笑)」
「不満だよ、もちろん」
美「ほら」
最後にぎゅっとしてキスしてくれなかった。私は恋人なのに。
ぶわっと涙が浮かんでしまうから、いつもと様子が違うぞ？と思ってまた「いじめすぎた？」と考えると、Aはじっと俺を睨んで口を開いた。
「最後にキスされなかった時、寂しかったのに」
美「A、ごめん」
「謝るなら・・・」
そこまで口にしてから女の顔して「ちゃんとして？」と俺の顔を両手で包むと、試すような視線を俺に向けた。
本当に、やばい女だな。
こんな真夜中に抜け出してこっそり俺の部屋に来て、
こんな色っぽい顔して俺を誘ってる。
しっかり目を見てキスを落とす俺にAも視線を逸らさなかった。
目を合わせたまま数回キスを落として顔を離す。
絡み合う視線が、切ない。
「・・・それだけ？」
美「っ、」
年下のくせに、くそほど可愛いくせに。
本当、どこでこんなの覚えてきたんだか。
妖艶な表情のその先はずっと俺が独占してたい、改めてそう思った。
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作者名：愛美
| 作成日時：2020年9月8日 23時
