春の中で【KEYTALK/小野武正】 ページ1
武正side
過ごしやすい気温になってきた季節。
気づいたら桜のピークは過ぎていてもう葉桜になってしまっていた。
元はお花見しようって話になってたのに、なかなか時間が取れなくて、
遅くなってしまってごめんね。
「たけちゃんと一緒なら何してても楽しいよ」
「そっか...ありがとうね、俺も」
今年入ってから絶対太った！というのがお互いあって、運動がてら国立公園までサイクリングへ。
柔らかな陽射しの中で、木々の緑にたまに紛れている淡い桜の花びらが、そよ風に揺れて散っていく。
しばらく走って人のあまりいない場所に出て俺たちは自転車を降りた。
原っぱに寝転んで、空を仰ぐ。
「結構遠くまできたね、疲れちゃった笑」
「Aもこっちおいでよー」
そう呼びかけるなり、ちょこちょこ小走りで俺のところに駆け寄ってきてAは腰を下ろした。
「可愛すぎない？」
「へへへ」
「なに照れてやんのーこのやろー」
「ひぃっ、ちょったけちゃんー！！笑」
Aの脇腹をくすぐると、Aも仕返しというように俺の脇腹に手をかけてくすぐってくる。
ふと目があって、なんか恥ずかしくなって、
お互いふふっと微笑んだ。
「今日本当に良い天気だね」
「そうだね、また来れたらいいね」
「ねえ、たけちゃん、」
「ん？なに」
「ぎゅーって、して？」
「ふふっ、いいよ」
Aの華奢な身体を引き寄せて強く、でも壊れてしまわないように優しくぎゅっと抱きしめる。
Aが俺の胸元に頭をすりすりして、そのくすぐったさが心地よかった。
「ねえ、A」
「なにたけちゃん」
「ぎゅーだけで足りるの？」
「え？あ、いや、うーん」
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作者名：ゆずぽん | 作成日時：2019年4月16日 11時
