どんな君も大好きだ。

新しい季節 ページ47

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いつもの見慣れた道沿いに、桜の花が咲き始めた。



今年もこの季節がやってきた。

それはこれまでが終わったことを実感させたのと同時に、新しい季節がやってきたことを実感させた。








これまでの日々は、


君とたくさん一緒に過ごせて。

君とたくさん話せて。

君とたくさん笑いあって。

君とたくさんぶつかり合って。

でもその分、得られたものは大きくて。








出会いがあれば、別れがある。

そんなことは分かっているし、毎年この時期になれば別れというものは必ずやってくる。


だけど。








心にぽっかり空いた大きな穴。


喪失感。









春から、君はいなくなる。


そんな現実と向き合って、私はどうやって過ごしていったら良いのだろう。








空を見上げると、いつも通りの澄み渡る青空に映える五分咲きの桜が見えて、

「変わるとき」を象徴していて辛かった。








さみしいよ。


どうすることもできないけど、さみしいよ。









でもね、このまま俯いてるままじゃだめだから、







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こんなにも別れが悲しいのは、


きっと大きな意味を持った大切な人と出会えたという何よりの証拠で、


こんな奇跡が起こりうるのなら、何だってできる。







そんな気がする。


こんなことを思わせてくれたのは君が初めてだった。








「さようなら」ではなく、「またね」を。


「今までありがとう」ではなく、「これからもよろしく」を。






君に伝え忘れてたことが、頭の中に次々と浮かんできた。


伝えないと。







少し焦り気味で開こうとしたトーク画面。


手元の液晶画面に、桜の花びらが舞い降りた。








君がいなくても、私はきっと強くなって乗り越えていくよ。



もう下ばっかり向かない、

新しい季節を迎えに行くんだ。









変わり続ける日常の中で、変わらないもの。









「また会おうね」。

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