どんな君も大好きだ。

図書館にて【ORAL/あきらかにあきら】 ページ28

Aside


※あなたとあきらさんは学生の設定です




本が大好きな私はこの学校の図書館が大好きで、
授業が終わるといつもここに直行する。


友達と来ると、どうしても気がそれてしまうので
いつもひとり。


書架の周りを歩き回って本とにらめっこしたり、
課題を終わらせたり。

そして決まって窓際の1番端の席に座る。







図書館の入り口を抜けて、いつもの私の特等席に向かうと、普段とはどこか違う雰囲気を感じた。



人がいる...



そこに居たのは1人の青年。
金髪だしなんかチャラい感じ。



ちぇっ、今日は違う場所に座るか。



私は諦めて踵を返すと、後ろから持ってたトートバッグを引っ張られる。


振り向くと、彼がこっちを向いていて、
片手にルーズリーフを私に向けて持っていた。





【代わりましょうか？】





さすがに申し訳なかったので、
私は首を横に振り軽く会釈をして、向かいの席に腰かけた。




すると、また彼からこちらに向けてルーズリーフが差し出される。





【いつもここの席ですよね？良いんですか？】





私は少し面倒くさくなって私は【大丈夫です】と雑に書き残し、本を探しに行くために席を立った。


すると遅れて彼も席を立ち、私の後をつけてくる。








目的の書架まで辿り着き、本の物色を始める。


この前もここに来て気になる題名の本があったんだよなぁ、どこにあったっけ。


そう考えていると、私に追いついてきてた彼が来た。


彼は来るなり、身をかがめて小声でひそひそと話しかける。





「僕、席代わりますけど」



「だから良いんですって、申し訳ないし」





耳元で囁かれているから少しくすぐったい。


あ、マークしてた本みっけ。

でも1番上にあるから、私の身長ではとんでもないけど届きそうにない。

すると、隣の彼が私の視線の先にあったその本をひょいと取った。





「この本、僕も好きなんですよね〜」


「そうですか。借りたいので私に貸してもらっても良いですか」


「へー 人に本取ってもらったのに、ありがとうの一言もないんだ」


「すみませんね〜ありがとうございます」


「いいのいいの」





なんだこの人。

いつも私があの席にいるのも知ってるし、私のことを分かりきったような雰囲気。

不思議だ。





「あの、どこかで会ったことありますか？」


「ふふっ。彬です。A久しぶり」





それは中学の頃と変わってない笑顔を見せた、
初めて付き合った彼氏の彬だった。

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