どんな君も大好きだ。

流星群【sumika/片岡健太】 ページ14

片岡side



今日はペテルギウス座流星群の見える日。


俺と彼女は星が大好きだから、流星群が見える日はいつも2人で見える場所まで行って空を眺める。


けれど、今回は違って。


今日はsumikaで地方のフェスに出演する日だから、どうしても一緒にいられなかった。


出番を終え、日が沈み、流星群のピークになる頃。
俺は出演者テントから離れて人がいない小高い丘に向かいながら彼女に電話をかける。







「もしもし。健太？」


「おっA、電話出るのはやいな笑」


「だってそろそろ流星群のピークだし。
健太から電話かかってきそうだなーって思ってたの笑」


「なんだよお見通しかよ笑」







俺はふと空を見上げる。
ずっと明かりの強い所にいたけど、この辺には照明がないから、星がたくさん見えた。
目を凝らすと、遠くのほうで小さな星が既にたくさん流れているのが確認できた。

はじめて1人で見る、星々が流れる空。







「俺やっぱりAと2人で見たかったなぁ」


「なーに言ってるの、お仕事なんだから仕方ないでしょ」


「そう言ってるAも少し寂しかったりするくせに、」


「わ！！健太、今北東に大きな流れ星！！！流れたよ！！！！」







Aは俺の質問を遮るかのようにそう言う。
あー今の見逃しちゃった。







「ほんと？俺今の見逃しちゃった。お願い事はした？」


「いや突然だったからできてない...」


「ふふっ笑 なんだよ、どんくさっ」


「ちょっと！笑 あーもう早く次流れないかなぁ」







俺は手元の時計を確認する。
ちょうど流星群のピークの時間になった。
咄嗟に星空に目線を移した。


お願い事...何にしようかな。






.




キラッ




.






「今、流れたね」


「うん、すごく大きかったね！」


「お願い事できた？」


「うん、できたよ。健太は？」


「俺もできたよ」


「何をお願いしたの？」





.




キラッ




.




「Aのお願い事が全部かないますように。
あともう1つ。次も、その次も、Aと一緒に流星群が見られますように。
最近一緒にいられる時間が減って、寂しい思いさせてしまってごめんね。Aいつもありがとう」


「健太...ありがとう。大好き」


「Aのお願い事も教えてよ」


「健太とこれからも一緒にいられますように」







照れながら小声でそうつぶやいた彼女に、早く会いたい。
会ったら苦しいほど抱きしめてやろう。







「そのお願い事、かなうと思うよ」

遭遇【KEYTALK/八木優樹】→←夢の国【Brian the Sun/小川真司】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す