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記憶の欠片 みっつめ ページ4

翌日、部屋にある荷物の整理も終わらせた僕は、Aの家の前に立っていた。

中に入ろうと思えばいつでも入れるのにそうしなかったのは、彼女に家の前で待つように言われたから。

空を見上げると、昨日の雨が嘘のように青空が広がっていた。

「わっ、すごい。晴れたねぇ」

彼女を待っている間、空を眺めていると後ろから楽しげなAの声がして。振り向けば"おはよう、真冬。"と笑いかけてくれた。

「おはよう、A」
「今日はどこに行こっか?」
「どこでもいいよ。Aの行きたいところに行こう?」

昨日泣いていた人とは別人のように明るい雰囲気のA。無理して明るく振舞っているんだとすぐにわかったけれど何も言わないことにした。今、それを指摘するのは最善策だとは思えないから。

「見てみて真冬。太陽の光が水たまりに反射して宝石みたいに光ってる。これを辿って行ったらどこまで行けるかな?」

無邪気なふりをしてそう言った彼女。水たまりを辿っても、行き着く先はこの街のどこかであることはわかっているはずなのに。

「辿ってみる?」
「うん!」

明るいふりを、無邪気なふりをして平静を保っているのだろうけれど。事情を知っている僕は、そんな彼女を見て心が痛んだ。昨日、一緒に帰るんだった。なんて、後悔したってもう遅いのだけれど。

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あいろ - 涙が、、、、とってもいい作品でした! (2019年10月13日 8時) (レス) id: 7961ad3a74 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あおい | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aoihomupe/  
作成日時:2019年7月2日 15時

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