【刀剣乱舞】歪んだ先に (ページ34)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:196,195 hit

やページ34

＊

小さい頃、始めて彼と出会った場所に行ってみれば、案の定、彼は、そこで待っていた。

「嗚呼……来てくれたんだな」

「っ…！鶴丸さ、ん」

優しい声と柔らかい微笑みのはずなのに
その顔は、恐怖以外の何者でもなかった。

「……昔みたいに呼んでくれてもいいんだぜ」

「そんな、こと……」

恐ろしくて出来ない。
神様の名前を軽々しく呼ぶなんて。

小さい頃に私が『つる』と呼んでいたようにして欲しいのだろうが、今となっては、そんなこと出来る筈がなかった。

「……呼んではくれないのか。残念だ」

少しがっかりしたように肩を落とす。
そして、何を思ったのか、いきなり腕を引っ張た。

「いッ！」

突然のことで受け身が取れなかった私は、そのまま彼に向かって、抱き締められる形になる。

「はなし、てっ！」

────何をされるか、わからない。

その恐怖が徐々に震えとなって表れる。
今までのことがあるから、なおさら怖かった。

しかし、そんなことは気にも留めず

「いつ、みても綺麗だな。君は」

愛しそうに眼を細めて見つめてくる神様。

だんだん恥ずかしくさが込み上げてきて、顔を反らそうとすると

「駄目じゃないか」

なんて言って、無理やり元に戻される。

「あ、の…………つる、ま！？！？」

──恥ずかしいです
と伝えるはずの言葉は唇が塞がれたことで紡がれることはなかった。

＊