わ ページ16
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「どうじゃ？ 祭は楽しいか？」
「うん！ おじいちゃん家来て良かったよ！」
「がっはっはっ。
それは良かった、良かった。最後は締めの花火じゃからな、思う存分楽しいんでくれ」
そう言って、お祭りの役員の仕事があるとかなんとかで、おじいちゃんは、人混みに消えていった。
地元では、わりと有名なこのお祭りは、かなりの賑わいをみせていた。
現に、私達もようやく空いている席をみつけ、座れたところなのだ。
それに、「何か食べ物買ってくるわ」と言ったっきり、母は、なかなか戻ってこない。
どのお店にも行列ができている状態なのだから仕方ないのだが。
まだかなぁ……
と一人寂しく思っている時だった。
「ちょっと、そこの可愛いお姉さん」
「……ぇ？」
「君だよ、君。ねぇ、今暇？ 暇だったら一緒に遊ばない？」
さりげなく肩に手を置いてきた見ず知らずの男性に驚いて固まってしまう。
それを彼は、好機だと判断したのか、さらに手首を掴んできた。
「ぃ、や……嫌ッ！ 離して！」
「別に良いじゃん。どうせ暇でしょ」
「暇じゃありません！ 離してください！」
必死に彼に掴まれた手首を振り払おうとする。
が、所詮は男と女。
力で勝てるはずもなく、あっさりと押さえ込まれてしまった。
「いっ、た…」
押さえられた手首が圧迫され鈍い痛みが走る。
ズルズルと引きずられて連れてこられた場所は、人目につきにくい所だった。
「じゃ、楽しいこと始めよっか」
そう不敵に笑った彼に、冷や汗が流れた。
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作者名：藍 | 作成日時：2017年2月14日 14時
