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降谷side


背中に高めの熱を感じながら高層マンションのエレベーターに乗り込む。

Aは車に乗るまでは熱なんかないですよだとか騒いでいたが、しばらくしたら急に静かになった。

今だってかなり辛そうだ。結構な高熱が出ているだろう。

なんで気づかないかな…バカは風邪ひいても気づかないって言うけど、Aはバカというか自分の体に無関心なのかもしれない。


鍵を合鍵で開けて寝室に直行する。

そのままベッドの上にAを寝かせて、勝手知ったる彼女の部屋の引き出しを探った。

確か薬類はこのへんに仕舞って…あった、解熱剤。

キッチンでコップに水を注ぎ、再び寝室に戻る。


「A、薬飲めるか?」

『う…』


顔を近づけて聞けば、Aは辛そうに顔を歪めた。

顔が赤くて無意識のうちに頬に手を当てる。

冷たくて気持ちがいいのか、彼女は俺の手に擦り寄ってから薄く目を開いた。


『ふるやさん…』

「大丈夫か?」


熱で朦朧とするのか目はあまり焦点が合っていない。

長いまつ毛が数度上下して、彼女の手が俺の手に重なった。


『……ごめんなさい』


…また迷惑云々考えてるのかこいつは。こんな時まで謝るなよ。

ため息をついて首を振る。


「いいよ。謝る必要は…」

『すきになって、ごめんなさい』

「…え?」


思わぬ言葉に動きを止めた。

Aと目は合わない。多分熱に浮かされて言う気のなかったことを言ってるのだろう。

彼女は薄く涙が滲んだ瞳で続ける。


『もうやめようって思ったんです。吹っ切れなきゃって思ったんです。あなたに振られたから』

「……」

『でも、髪まで切ったのになんの意味もなかった』


重ねられた手が離れて、俺の方へ伸びてくる。

熱い手が頬に触れる。

Aは、泣きそうな表情のままで、笑った。


『いまでもあなたがすきです、ごめんなさい』

「……っ」


頬から手が離れてベッドの上に落ちる。

また閉じられてしまった瞼を前に、なにも言えないまま固まった。


謝らせたのは俺だ。ここまで背負わせてるのも。

わかってる。だからってどうしろって言うんだ。

無責任に12も年下の女の子の気持ちに応えていいっていうのか。


“どれだけ時間が経っても、あなたは私のことをあの頃と同じ保護対象としてしか見てないじゃないですか”


告白の直前にAが放った言葉が頭を廻る。

額に手を当てて自嘲気味に笑った。


「…それができればよかったのに」

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

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