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コナンside


「降谷さん!小日向邸の裏口を1台の黒い車が出発しました!」


風見刑事の声が安室さんのスマホから聞こえる。

続いてマップにその車の位置が映し出される。

相変わらずの見事なテクニックで首都高を走り抜ける安室さんは、口角を上げて言った。


「やっぱり。発信機が示す場所と同じところに向かってる」

「てことは犯人の狙いは…」

「身代金かなにかだろうね。実の娘ではないとはいえあの子は小日向グループのトップの娘だし」


身代金か…なるほどな、確かにご令嬢誘拐事件なんて身代金の要求がつきものだろう。

思わずホッと息をついた。

小日向邸から車が出たということは犯人達の要求は飲まれたのだろう。

まだ安心していいような局面じゃないけど、とりあえず犯人の狙いがAの命じゃなくてよかった。

これならAが殺される可能性も低い。


「…ま、だからといって許しはしないけどね」


安室さんはそう言って冷ややかに笑う。

ひえっ…怖すぎる。

今のはひょっとしなくてもバーボンではなかろうか。この人誘拐犯のこと殺しかねないぞ。

…さっきの地下通路でも思ったけど、安室さんがAに向けているこれは一体なんなのだろうか。


「安室さんって、Aお姉さんのことどう思ってるの?」

「え?」


俺の質問に、彼は首を傾げる。

そしてさして悩まずに答えた。


「どうって…普通の女の子だろう」

「え?」


え、いやいやあの超人のどこが普通の女の子のなんだ。

そう思ったが、安室さんはもう一度繰り返す。


「あの子は…普通の子なんだ」


その目はずっと向こうを見据えていて。


「本当はビビりで、慎重で、危険を冒すようなタイプじゃない。…それなのに、僕に手を貸してくれてる」


そう言われて脳裏に浮かんだのは、俺に安室さんを好きなのかと聞かれて慌てふためくAの姿だった。

そうだ、俺も思ったんだ。

ただの女子高生みたいだと。頭脳明晰なご令嬢が、普通の女の子のようだと。

それに、誘拐される直前の電話。隠そうとしていたけれど……その声は、間違いなく震えていた。


「だから僕は、なにがあっても絶対にあの子を守らないといけない」

「………」


聞きたかったこととは少しズレていたけれど、なんとなく分かった。

そっか、と返して前を向く。

その時、安室さんがいきなりハンドルを切った。


「小日向家の車だ」


彼の視線の先には先程風見刑事から聞いたナンバーの黒い車が走っていた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

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