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流石に人がいる横で公安の任務なんてできない。

毛利さんは1人だけど、腕の中に複数の弁当箱があるからすぐにお友達が来るのだろう。

鈴木さんと…世良さんかな。

手早くパソコンを片付け、イヤホンを片耳だけ外して出口へ向かう。

すると、そんな私に気がついた毛利さんが慌てて私に声をかけた。


「小日向さん!ごめん、私たち別のところ行こうか?」

『ううん、大丈夫。気にしないで』


体育館裏なら誰もいないだろう。

時間もないことだし、毛利さんの言葉を流してドアノブを握る。

しかし、毛利さんはパシッと私の手を掴んだ。


『え』

「あ!ご、ごめんね急いでるよね!
でも、これだけ渡したくて…!」


そう言って毛利さんは私の手に小さな袋を握らせる。

一体何かと開けてみれば、そこには可愛らしい桜の髪飾り。

困惑気味に顔を上げれば、彼女は笑って口を開いた。


「修学旅行のお土産だよ!」

『お土産…?』


馴染みのなさすぎる単語に思考が止まりかけた。

修学旅行…京都のお土産…?え、私に…?

完全に固まってしまった私に、彼女は更に続ける。


「よかったらもらってくれないかな、小…っAちゃん!」

『へ…』


思いもよらないセリフに目を瞬かせた。

同年代の女の子から下の名前で呼ばれるなんていつぶりだろう。

きゅっと目を閉じて言った毛利さんを呆然と見つめる。


…あぁ、うん、工藤が惚れるのもわかる気がする。彼女はきっと、本当に優しい人なんだろう。



『…ありがとう、蘭ちゃん』

「…っ!うん!」


眩しいくらいの笑顔を浮かべた彼女に笑い返した。

うまく笑えてるだろうか。自信はないけど、伝わってるといいなと思いながら屋上をあとにする。


そんな時、付けたままだった片耳のイヤホンから微かな笑い声が聞こえた。

…あぁ、そうだ。通話繋いだままだったの忘れてた。多分全部聞かれてた。


『なんですか降谷さん』

「ふふっ…、いや、よかったなA」

『そんなに笑うことですか?』

「だってあのAがな…はは、ぼっち脱却おめでとう?」

『うるさいなぁ、そんなんじゃないですよ』


流石にそんな図々しいことまで思ってないですって。名前呼びになったくらいで。

ため息をついて階段を駆け降りる。

タイムリミットはあと15分。

誰もいない体育館裏。遠くから聞こえる昼休みの喧騒をシャットダウンして、パソコンを開いた。

16:ザッハトルテ→←14:プレッツェル



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

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