11:プディング ページ12
コナンside
大丈夫だと思っていた。
小日向は修学旅行に来ていなかったし、彼女の前で証拠を掴まれるような真似はしていないと。
人が小さくなるなんて非現実的な現象を、論理的な彼女が信じるわけないと。
油断していたのが悪かった。
小学校からの帰り道、半強制的に俺を自宅へ連れてきた小日向は、瞳を揺らさずに言った。
『あなた工藤でしょ』
あまりにも単刀直入なそれに息が止まりかける。
でももしかしたら言われるかもしれないと想定していたセリフだ。
へらりとした笑みを貼り付け、用意していた答えを口にした。
「何言ってるのAお姉さん!ボク小学生だよ?」
しかし俺の言葉は聞いていないかのように小日向はカバンを探りながら続ける。
『私、修学旅行には参加してなかったけど京都には行ってたんだよね。同じホテルにも泊まってたし』
「へ…?」
『これ、なんだと思う?』
彼女がカバンの中から取り出したのは小さくて黒いなにか。
それを見つめ、俺はハッとして声を上げた。まさかこれ…!
「カメラ…!?」
『ちなみに仕掛けた場所は工藤のベッドの下』
その言葉に背筋が凍りつく。
ベッドの下なら、俺を待っていた服部も、いるはずのない江戸川コナンも、そしてコナンから新一に戻るところも全て映っている。
『言い逃れができるなら聞いてあげるよ、名探偵くん?』
冷たさを閉じ込めた瞳が細められる。
あぁ、そうだ、ようやくわかった。
冷えきった声も、凍てつくような瞳も、手段を選ばない捜査も、証拠を揃えてから相手を追い詰めるやり方も。
間違いない。
これは、この既視感の正体は────公安だ。
認めるしかない。グッと奥歯を噛んで頷いた俺に、小日向は息を吐く。
やっぱりね、と呟いた彼女は、手に持っていたカメラを俺の方へ放り投げた。
『バックアップは取ってないから、捨てるなり燃やすなり好きにしなよ』
掴んだ証拠を手放すだと…?データはもう必要ないのか?
怪訝に思いながら小型カメラを受け取る。
しかしその瞬間、そのカメラの異様な軽さに体が固まった。
「……は?」
『生憎だけど、私に男子部屋を盗撮する趣味はないからね』
この軽さはどう考えてもおかしい。中身なんて入ってない。
これは…カメラなんかじゃない。ただのオモチャだ。
それじゃまさか…こいつ、録画なんてはなからしてないくせにハッタリかましたのか…!?
目を見開いた俺に、小日向はいたずらっ子のように笑った。
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時