answer �� ページ33
ぴゅうっと冷たい風が通り過ぎて、思わず肩を竦める。
ラッコもペンギンも見て、思う存分水族館を回って、いつの間にやら空は真っ暗になっていた。
二人で夜道を歩きながら、私はポケットから古びたキーホルダーを取り出した。
『ほら、あの時お兄ちゃんが買ってくれたペンギンのキーホルダー！私まだ持ってるんだよ！』
｢へえ、懐かしい。そんなに大事にされてきっとヒロも喜んでるだろうな｣
微笑んでくれた彼に笑い返し、キーホルダーを仕舞う。
と、そこでようやく自分たちが駐車場へ向かっていないことに気づいた。
流れでゼロくんに付いてきてたけど、これ逆方向だよね？足を止めて後ろを指差す。
『ゼロくん、車あっちじゃない？』
しかし、彼は首を振って前を指した。
｢向こうにイルミネーションが綺麗な通りがあるんだ。せっかくだから行ってみよう｣
へえ、と返して前を向けば、彼の言った通りすぐに電光で飾り付けられた木々が見えてきた。
銀杏並木が夜にキラキラ瞬いていて白い息が漏れる。
その時、かじかんだ指先がなにかで包み込まれた。
ゼロくんの手だと気づいた時には、もう指が絡められていた。
お互い何も言わずに、並んでイルミネーションの中を歩く。
ゼロくんと手を繋ぐのなんて何年ぶりだろう。
懐かしい温度に心臓がぎゅうっと締め付けられた。
『…今日、来てくれてありがとう』
｢あはは、僕が君の誘いを断るわけないだろ｣
『ふふ、そうだね。ゼロくん、昔から私が行きたいって言った所にはいつも付いてきてくれたもんね』
｢君こそ、なんだかんだ言いつつ誘えば必ず来てくれたじゃないか｣
『…うん、』
電飾を付けられた通りの終わりまで来て、足を止める。
振り返れば、涙が出そうなくらい綺麗な光景が広がっていた。
凍ってしまいそうな空気は鼓動を鎮めてくれる。
小さく息を吸った。
『…ねぇゼロくん』
私の方に目を向けた彼を見上げる。
アイスブルーの瞳はこんな時にまで綺麗で、輝いてて。
私は彼の目をまっすぐに見て、笑ってその言葉を告げた。
『もう、終わりにしよう』
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Leil(プロフ) - うわ、久々に小説でガチ泣きした、、、、2人とも一途すぎんか、、、、そしてあんま関係ないけど相変わらず赤井さんかっこいいな。もうだめだ、読み終わったときのよく分からん喪失感がやばい。読むのが止まりませんでした。これからも頑張ってください！応援してます (2021年8月3日 18時) (
レス) id: 36e4ed7dad (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ゆりあさん» うわーーーん私の方こそ泣きますもったいないお言葉こんなにたくさんありがとうございます！！この感動を文字にできる語彙力がないのがすごく悔しいです…！最後まで読んでくださって素敵なご感想までくださって本当にありがとうございました！！ (2020年3月29日 14時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 体の水分が全て涙として出ていくぐらい泣きました。コメディもあるのに、メロドラマっぽさもあり、きゅんもあり、貪るように読ませていただきました！これからも応援しています！頑張って下さい。 (2020年3月27日 9時) (レス) id: 45a22d77c5 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます！！最後のところはすごく悩みながら書いた記憶があるのでそう言って頂けてとても嬉しいです…！最後まで読んでくださってありがとうございました！ (2020年1月27日 19時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^最後のシーン、すごく感動しました！涙腺崩壊しました！良い作品ですね！これからも、頑張って下さい^_^ (2020年1月18日 0時) (レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：立夏
| 作成日時：2018年11月11日 21時
