question IV ページ5
もしかして最初に希望したサイゼのイタリアンという部分だけは採用してくれたのだろうか。
それはわからないけど、降谷さんが連れてきてくれたのは可愛らしいイタリアンレストランだった。
食事中に前の席から異様に視線を感じるのはいつものこと。
やめるように言っても意味はないことはとうにわかっているので、気にせずにカルボナーラを頬張った。
『おいしい…！』
思わずその言葉を漏らした。
これ…！私の好きなやつだ！チーズの味が濃いめですごく美味しい！黒胡椒がきいてるのも好き！
やっぱり彼には私の好みは筒抜けらしい。
私がイタリアンに来ればカルボナーラを頼むことも、ここのカルボナーラが私の好きな味付けであることも、きっと全部知ってて連れてきてくれたのだろう。本当に何から何まで適わない。
さっき言ったように、私は美味しいものを食べればすぐに上機嫌になる。
彼と小さい頃の思い出話に花を咲かせながらクルクルとフォークにパスタを巻き付けた。
そうしているうちにカルボナーラも食べ終わり、デザートとコーヒーが運ばれてくる。
そんな時、彼は会話が途切れたのを見計らって｢そういえば｣と話題を変えた。
｢車の中で言ったこと、覚えてる？｣
『へ？』
いきなりのその言葉に一瞬思考が停止する。
笑顔のまま固まった私に、彼もまたニッコリと笑った。そして容赦なく告げたのだ。
｢頼みたいことがあるって言ったろ｣
『……忘れてました』
｢そんなあからさまに嫌そうな顔しなくても｣
そういえばそんなこと言ってた。すっかり忘れてしまっていた。
降谷さんは苦笑してコーヒーを一口飲む。
コーヒーカップがソーサーに置かれたのを見届け、私は彼が放つ言葉を待つ。
背筋を伸ばして覚悟を決めた。
さぁ来い。美味しいものを食べたからってチョロくなんてないんだから。
しかし続いたその内容は、なんとも拍子抜けするものであった。
｢敬語をやめてほしいなって｣
『………はい？』
｢敬語｣
『敬語？』
｢昔は敬語なんて使ってなかっただろ、別に大人になったからって君が僕相手に敬語を使う必要なんてない｣
『…頼みたいことってそんなことですか？』
｢そんなこと？君のことだから渋ると思ったんだけど｣
意外そうに青い瞳が瞬く。
しかし私は思わず一気に体の力を抜いた。
なんだ、そんなことか…この人が頼み事なんて一体どんな大層なことかと思えば…
ため息をついて苦いコーヒーを一口含んだ。
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Leil(プロフ) - うわ、久々に小説でガチ泣きした、、、、2人とも一途すぎんか、、、、そしてあんま関係ないけど相変わらず赤井さんかっこいいな。もうだめだ、読み終わったときのよく分からん喪失感がやばい。読むのが止まりませんでした。これからも頑張ってください！応援してます (2021年8月3日 18時) (
レス) id: 36e4ed7dad (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ゆりあさん» うわーーーん私の方こそ泣きますもったいないお言葉こんなにたくさんありがとうございます！！この感動を文字にできる語彙力がないのがすごく悔しいです…！最後まで読んでくださって素敵なご感想までくださって本当にありがとうございました！！ (2020年3月29日 14時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 体の水分が全て涙として出ていくぐらい泣きました。コメディもあるのに、メロドラマっぽさもあり、きゅんもあり、貪るように読ませていただきました！これからも応援しています！頑張って下さい。 (2020年3月27日 9時) (レス) id: 45a22d77c5 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます！！最後のところはすごく悩みながら書いた記憶があるのでそう言って頂けてとても嬉しいです…！最後まで読んでくださってありがとうございました！ (2020年1月27日 19時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^最後のシーン、すごく感動しました！涙腺崩壊しました！良い作品ですね！これからも、頑張って下さい^_^ (2020年1月18日 0時) (レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：立夏
| 作成日時：2018年11月11日 21時
