❀『幸せな日常』 ページ8
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非番の今日、俺はAと駅前のショッピングモールに来ていた。
目当てはリビングのラグの新調。少しボロくなってきていて
新しいのを買おうと前々から話していた。
「あ、これ素敵。⋯⋯あ、でもこれもいいな⋯⋯」
さっきから俺の隣で真剣に商品を見ているA。
ころころと変わるその表情は見ていて飽きない。
「あ、じゃあ私あっちのコーナー見てくるね」
「おう」
何かいいものがあったのか
小走りで店内の奥の方に走って行ったA。
少し心配だけど、ここは家具屋だ。
ナンパしてくるヤツなんていねーよな。
前にA、俺が飲み物を買いに行ってる間に
ナンパされたことがあったから⋯⋯。
そんなことを思いながらブラブラと店内を歩き回っていると
「この商品、僕のイチオシなんですよ」
「へぇー、そうなんですね」
A⋯⋯と、話している男はこの店の店員か。
「あ、こちらの商品なんてお客様の可愛らしいイメージに
ピッタリだと思いますよ。お客様は一人暮らしですか?」
⋯⋯は?あの店員、デレデレしやがって。
勤務中に口説いてんじゃねーよ。
腹が立った俺は二人のところに行くと、Aの肩を抱いた。
「え、陣平くん⋯⋯?」
「気に入ったのあったか?」
「うーん⋯⋯」
自分そっちのけで会話をする俺たちを
店員が戸惑った様子で見ている。
「あのー、お客様は⋯⋯」
「この子の彼氏だけど。同棲中のな」
そう言うと俺はAをグッと自分の方に引き寄せ
店員を睨みつけた。
「そ、そうでしたか。
⋯⋯それでは、ご、ごゆっくり⋯⋯っ」
「⋯⋯⋯⋯⋯。」
ったく、油断も隙もねぇな。
顔を真っ青にして去って行った店員の背中を見ながら
俺は小さくため息をついた。
「あの、ありがとう陣平くん。声かけられてちょっと困ってたから」
眉尻下げ、俺を見上げるA。
だから、そんな可愛い顔すんなよ。
「ほんっと⋯⋯可愛いって罪だよな」
「へ?」
「いや、なんでもねーよ。
⋯⋯せっかくだし他の店も行ってみるか?
そんな急ぐもんでもねーし」
「うん。そうだね」
ナンパ野郎が働いてる店の商品なんて買いたくなんてねーし
っていう俺のドス黒い感情は心の中にしまい
俺とAは手を繋いで店を出た。
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なっちゃん(プロフ) - 靡さん» 靡さん温かいコメントありがとうございます!リクエストもありがとうございます、少し遅くなるとは思いますが是非書かせていただきます!リクエストありがとうございます🙇🏻♀️ (4月29日 21時) (レス) id: f425ed1b5c (このIDを非表示/違反報告)
靡(プロフ) - すごく面白いです!!更新も楽しみに待ってます!!あのですがもし良ければ「彼女が誘拐されて助けに行く」みたいな話を見てみたいです!! (4月28日 14時) (レス) @page2 id: 2fb0f9fe6b (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 葵さん» 葵さん温かいコメントありがとうございます、とても勇気づけられました🙇🏻♀️これからも更新頑張ります! (4月27日 23時) (レス) @page21 id: f425ed1b5c (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - この作品めちゃくちゃ面白いです! いつも楽しく読ませてもらっています!毎日更新されるのをワクワクしながら待ってます!この作品はめちゃくちゃ面白いです!自信を持って下さい!これからも更新待ってます!無理ない程度に更新頑張って下さい! (4月24日 23時) (レス) @page21 id: 0eb686ccc8 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - いつも楽しく読んでます!花火大会が見てみたいですね…お願いします! (2022年6月24日 11時) (レス) @page18 id: af2b388f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なっちゃん | 作成日時:2022年6月12日 12時