【名探偵コナン】傍若無人で協調性のない松田陣平が恋人にベタ惚れだった話。

✿『噂の恋人』 ページ12

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“噂の恋人”？



｢今、署内で噂になってるんだよ。
“あの傍若無人で協調性のない陣平ちゃんが
溺愛している恋人ってどんな子なんだろう”って｣



で、溺愛って⋯⋯。ていうか署内でそんな噂が立ってるんだ。





｢あ、自己紹介が遅れてごめんね。
俺は陣平ちゃんの幼なじみで同じ捜査一課の萩原研二。
よろしくね、Aちゃん｣


｢え、どうして私の名前⋯⋯｣



｢あー、実は前に陣平ちゃんのスマホを覗いたことがあったんだ。
いつもクールな陣平ちゃんが嬉しそうにスマホ弄ってるから
まさかと思って見てみたら、案の定Aちゃんと
メールしてたってわけ。
トーク欄のところに“A”って表示されてたし｣





えっ⋯⋯。

驚いて隣にいる陣平くんに視線を移せば
彼は耳を真っ赤にして窓の外の方を見ていた。






｢けど、ビックリしたな｣



｢え？⋯⋯⋯⋯っ｣




顔、近い⋯⋯っ。

振り返った瞬間、すぐ目の前にあった彼の顔に驚いて
反射的に距離を取る。




｢すっごく可愛いよね、Aちゃん｣


｢へ？｣


｢見るからに純粋そうで⋯⋯俺、結構タイプだな。
⋯⋯もし陣平ちゃんより先に出会ってたら、告ってたかも｣




え⋯⋯




｢おい萩。お前それ以上喋んだったら車から突き落とすぞ｣


｢えー｣


｢それに、Aは俺の女だ。誰にも渡さねーよ｣




⋯⋯⋯⋯っ

陣平くんの言葉に心臓がドキンと高鳴る。
恥ずかしいけど、すごく嬉しいな。






｢⋯⋯へぇー、想像以上の溺愛っぷりだね。
まあ、今のは全部冗談だから。はい、しゅっぱーつ｣


｢チッ｣



陣平くんは不機嫌そうに舌打ちをすると、車を発進させた。







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