ごくせん

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一条 ｢あの、Aさん。何か頼まれますか？｣



『あ、じゃあホットミルクティーを』




一条 ｢すみません。
ホットコーヒーとホットミルクティーを一つ｣




『………………。』






……どうしよう。すごく気まずい。






お父さんの言ってた通り
爽やかだし、悪い人ではないんだろうけど……。







一条 ｢あの、会ったばかりの人と結婚しろなんて
いきなり言われても困りますよね。
でも、まだ時間はありますしお互いのことを
少しずつ知っていければと僕は思っています｣




『……はい』





一条 ｢それで……僕的にはAさんと結婚を前提に
お付き合いをしたいとも思っています｣




『え？』




一条 ｢単刀直入に言うと一目惚れしました｣





……一目惚れ？







一条 ｢返事は今すぐじゃなくてもいいです。
でも前向きに検討して頂きたいです｣



『………………。』





一条さんの言葉に頷くことはできず
ただ頭の中に浮かんでくるのは隼人くんの顔。






正直私は一条さんと結婚したくないし
これから先、一緒にいたいのは隼人くんだけ。






お父さんたちからみたら高校生の私たちは、まだ子どもで
でも、それでも私が好きなのは隼人くんだけなの。







『……ごめんなさい。私、付き合っている人がいるんです』




一条 ｢え？｣




『だから一条さんとお付き合いすることも
結婚することも出来ません』




一条 ｢でも……この縁談は決定したことですよ？
あなたのご両親だって……｣




『それは分かっています。
それでも私はこれからもずっと彼といたいんです』




一条 ｢……………。｣




『本当にごめんなさい』




そう言って私は頭を下げた。







一条 ｢……あなたのお父さんは
そんなこと許さないと思いますよ｣




『それは重々承知しています』





……覚悟はしてる。



今回ばかりはお父さんの言うことを
聞くわけにはいかないんだ。





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