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私はキッチンに戻って朝ごはんをよそい並べる。
「今日も美味そ。あ、だし巻きあるやん」
「廉くん、いつも美味しいって食べてくれるから」
「うん。Aのだし巻き最高に好き」
そう言われて、嬉しくて頬が緩んだ。
2人で手を合わせてご飯を食べる。
「今日の17時頃だって、お母さんたちが家に着くの」
「あー…帰ってくんのか…」
今日は、一週間出張に出かけていた
お母さんと誠さんが帰ってくる日。
この一週間、ずっと2人きりだったから
なんだか慣れてしまった。
「新婚みたいで楽しかった」
「し、新婚っ…?」
「父さんたちがいたら
堂々とイチャイチャ出来へんしな」
れ、廉くんってば…!
平然とした態度でそんなこと言うから
私は聞かないフリしてご飯をパクっと口に入れた。
…そういえば
私たちのことって2人に話すのかな?
何だか両想いになってから
毎日が夢みたいで、きちんと考えていなかった。
一応、私と廉くんは兄妹となるはずだった2人で
私たちが付き合い始めるなんて
お母さんも誠さんが聞いたら…
一瞬、不安が脳裏を過ぎった。
「どうしたA?」
「えっ?な、何もないよ?」
黙り込んでしまった私を心配してくれたのか
廉くんの問いかけに笑顔を返す。
もし…私と廉くんが付き合うなら
再婚はなしになる…とか、そんなことないよね?
せっかく決まったお母さんと誠さんの再婚。
お母さんは今までたくさんの苦労をしてきたから
幸せになってもらわなきゃ困る。
「お母さん、日本食が恋しい〜って言ってたから
今日は和食にしよっか」
「俺はAが作った飯ならなんでもいい」
ま、また…さらっとそんなことを…
廉くんって、ズルい…っ。
甘すぎる廉くんに
私はドキドキさせられっぱなしだ。
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作者名:なっちゃん | 作成日時:2020年8月1日 13時