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｢少しは落ち着いた？｣
秘密基地とは、生徒会室のことだったらしい。
健人さんは温かいフェンネルティーを淹れてくれて
私の涙も止まっていた。
安心する香り···。
｢はい···。さっきはあんな恥ずかしいところ
お見せしてすみませんでした···｣
｢謝らないで。
君のピンチに駆けつけられて
よかったと思ってるんだ。
···本当は、君が涙を流す前に行きたかったんだけどね｣
相変わらずの王子様スマイルと
女の子なら誰でもときめいてしまうようなフレーズ。
｢どうして泣いていたのか···
理由を聞くのは気が効けないかな？｣
優しい声がそう言われて
私はゆっくりと先ほどまでの出来事を話した。
｢なるほど、ね···｣
健人さんは納得したように目を伏せた。
｢Aちゃんは、永瀬くんが好きなんだね｣
｢えっ····？｣
私が···？
｢そうじゃなければ
彼を思って泣いたりしないだろう？｣
｢それ、は···｣
｢じゃあ、否定できる？｣
真っ直ぐに見つめられ、私は気づいた。
自分の気持ちと、向き合っていなかったことに。
健人さんは
昨日会ったばかりの私の話を一生懸命聞いてくれた。
真剣に考えてくれた。
向き合ってくれた。
私も···ちゃんと向き合わなきゃ。
認め、なきゃ。
｢···できま、せん｣
｢うん。
Aちゃんは永瀬くんのことをどう想ってるの？｣
女の子に協力してほしいと言われて嫌だった。
廉くんに突き放されて哀しかった。
廉くんが···他の女の子を好きになっちゃうかと思って
悲しかった。
とっくに、わかってたはずなのにっ···
｢好き、ですっ···｣
男の人が苦手とか、過去のトラウマとか
そんなものを言い訳にしてたら後悔する。
私は、廉くんが好きだ。
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作者名：なっちゃん
| 作成日時：2020年7月25日 0時
