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その足音は後ろから近づいてきて
ゆっくりと振り返る。
｢廉、くん···｣
そこには酷く苛立ったような
悲しそうな廉くんの姿があった。
｢そういうのって、自分で渡すものじゃないん？｣
一歩一歩近づいてくる廉くんは
手紙を持った女の子の前で止まった。
｢あ···ごめん、なさい···｣
｢別に。···これ、もらってええの？｣
｢え···？｣
｢俺にくれるんやろ？｣
廉くん···？
廉くんはそう言って
女の子から手紙を受け取った。
女の子は驚いた後、嬉しそうに頬を緩ませる。
｢A｣
···いつもの優しい声じゃない。
｢教室に戻れ。もうすぐ授業始まる｣
頭をポンっと叩かれ、そう言われた。
まるで突き放すような冷たさを持った声色。
｢廉、くん···？廉くんは、戻らないの？｣
｢俺はちょっとこの子と話してから戻るわ｣
··········っ。
廉くんの言葉に廉くんが好きだと言った女の子は
頬を赤らめて廉くんを見つめている。
後ろの女の子2人も
頑張れっ！と言ってこの場から去って言った。
1人動けず、立ち尽くす私。
｢A？聞こえんかったか？｣
｢き、聞こえた···っ｣
｢じゃあ戻れって。チャイム鳴るやろ？｣
｢でもっ···｣
｢A｣
何かを言いかけた私の声を
廉くんの声が遮った。
｢Aがおると話が出来んから、席外してくれる？｣
それは完全に邪魔だと、遠回しに言っていた。
·····っ、
心臓がはち切れそうで
目からは何かが込み上げていくる。
その場にいることが許されていない気がして
もう私はいらないと言われているみたいで
廉くんに背を向け、階段を駆け上がる。
2人の姿が見えなくなった頃
私の目からは雫が1滴2摘と流れてきた。
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作者名：なっちゃん
| 作成日時：2020年7月25日 0時
