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うわ···っ。
甘い香りがしそうなスウィートフェイスに
サラサラストレートの黒髪。
制服をキチッと着こなし
スラリと伸びた足が
スタイルの良さを引き立たせている。
まるで現代の世界に舞い降りた"王子様"のような
目の前の彼の姿に思わず現実かと目を疑った。
でも王子様って言われてるのは
廉くんなんだったよね？
でも確かに廉くんはカッコよくて王子様みたいだけど
雰囲気はどこか冷たさを感じさせるものがある。
対してこの人は優しそうな博愛主義を漂われるような
雰囲気を醸し出している。
絵本に出てくる王子様だ···。
｢おーい、大丈夫？｣
｢···あ、すみません！｣
見惚れてしまいボーっとしていた
私の顔を覗き込む目の前の彼。
ち、近いっ！
男の人だという警戒心があり
反射的に後ずさって距離をとる。
｢あれ？もしかして怯えてる？｣
｢え···あの···｣
｢あはは、冗談だよ。
何もしないから怖がらないで？｣
笑い方もすごく爽やかで本当に王子様みたい。
何だか吸い込まれちゃいそうな人だなと
思ったけれど
優しく笑った彼が悪い人には見えなかったから
私も首を縦に振った。
｢君、もしかして迷子？｣
｢あ、えっと···｣
この歳で、しかも校内で迷子だなんて恥ずかしい···。
恥ずかしすぎて頬が赤く染まる。
｢大丈夫だよ。
ここ、あまり使われてない棟だし
地図も配置されてないからよく迷う生徒がいるんだ
僕でよかったら案内させて｣
｢ありがとうございます···っ！
生徒会室に資料を届けに行きたくて···｣
何ていい人···！よかった···！
もう辿り着けないかもしれないと思いかけていたので
私は縋りつくような思いで頭を下げた。
｢生徒会室？···なら行き先は僕と同じだね。
その資料貸してもらえる？僕が持つよ｣
｢えっ···でも、軽いので大丈夫ですよ？｣
｢女の子に荷物を持たせるわけにはいかないからさ。
それに宛先は僕だ｣
おいで、こっちだよ。と彼は私が持っていた
資料を持ち案内してくれた。
宛先は、僕？
｢ここだよ。どうぞ入って｣
言葉の意味が分からないまま
立派な扉のついた部屋に案内された。
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作者名：なっちゃん
| 作成日時：2020年7月25日 0時
