09 アレクサンドライト ページ10
降谷side
｢Aさん！｣
昼休み中。持参した弁当を食べてる最中に聞こえてきたそんな声に、ぼてっとコロッケを落とした。
…あ、やばい落ちた。自信作だったのに。
どこか冷静にそんなことを考えた反面、たった一言のそれに頭は高速で回転しだした。
…は？Aさん？
今あいつのことそう呼んだの南だよな？
なんで下の名前で……俺なんか寝ぼけて呼んだだけでやめろと釘刺されたのに。
今まで普通に七瀬さんって呼んでたよな？聞き間違いか？だってあいつがそう易々と男に下の名前呼びを許可するわけ…
｢Aさん、お昼食べに行きましょうよ｣
『あ、行く行く。ちょっと待ってね』
抱いた可能性は一瞬にして蹴散らされた。
確実にAさんと呼んでいた。しかもあいつもあいつで嫌な顔ひとつしなかった。
どういうことだ。何が起きた。なんであいつらいきなりあんな仲良さそうにしてるんだ。
並んで外に出ていく２人の背中を思わずガン見する。
それに気づいたのか、隣にいた風見が何の気なしに言った。
｢付き合い始めたそうですね、あの２人｣
｢は？｣
めきゃっ。
手の中で箸が無残に砕け散った。
風見がひっ、と声を漏らす。
しかし今度はもう気にしている余裕はなかった。
付き合い始めた…？南とあいつが？
２人が去った方を振り返っても当然もうあいつらはいない。
それでも誰もいないそこを呆然と見つめる。
…聞いてないぞそんなの。
｢あんな可愛い顔したやつが好みだったのかよ…！｣
｢ふ、降谷さん…？どうされました？｣
ガンッと机に拳を打ち付けた。
南は良い奴だ。仕事ができるし機転もきく。チビで可愛い顔してるくせに度胸もある。
割と生意気だけど、それなりの頻度で飲みに行くくらいには仲がいい。
わかってる。とっくに別れた俺にはこんな感情は抱く資格すらない。
いや、でも、だからって…
あいつに彼氏が出来たなんて、心中穏やかでいられるわけがないだろう。
使いますか…？と割り箸を差し出してくれた風見には全く気づかず、折れた箸をもう１段階細かく砕いた。
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立夏(プロフ) - 明里香さん» わ〜！ほんとですね！ありがとうございます！！直しておきました！！ (2019年1月22日 0時) (
レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 43話に誤字がありました。「聞こえ気がした」ではなく、「聞こえた気がした」です。 (2019年1月21日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - でねぼらさん» ありがとうございます！可愛く書けたらなと思っていたので嬉しいです！！ (2019年1月7日 0時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
でねぼら(プロフ) - 夢主可愛い降谷可愛い (2019年1月7日 0時) (レス) id: eac5f4ad2f (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - レッド・アイさん» わぁぁ３回も！？ありがとうございます…！！ほんと元カップルっていう距離感の微妙な関係が大好きで…ストライク決められて嬉しいです！！更新頑張ります！！ (2019年1月6日 12時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：立夏
| 作成日時：2018年12月24日 21時
